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Interop Tokyo 2006もいよいよ大詰め!!"
昨年同様、あいにくの雨となってしまったInterop Tokyo 2006の最終日。しかしこの天気に負けず、午前中から多数の来場者が展示会場に訪れた。本日は「固定と移動体の融合Day」と題して3本の基調講演が行われた。パビリオンのレポートと合わせてお届けする。
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EPCglobalパビリオン"
電子マネーを中心にして目にする機会が多くなった電子タグだが、その活用の場は年々拡大を続けている。特にIPネットワークと連携しての物流管理をはじめとする集中データ管理の面でのメリットが大きい。EPCglobalパビリオンでは今実際に用いられている電子タグ関連のプロダクトとソリューションを展示し、電子タグの可能性を見せ付けている。
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中でも印象的なのがカーレースにおける電子タグの活用事例だ。これまで耐久レースのデータ収集や中継などで、どのドライバーがどれだけの時間運転を行っていたかの情報収集は、主に目視に頼っていた。このため実況のアナウンサーがドライバーを間違って放送するなど現場での混乱が起こっていたという。この確認作業に電子タグを用いることでデータ収集の簡略化と正確性を確保できる。今後はさらに電子タグの導入を推し進め、レギュレーションに合致しないパーツ・タイヤの利用を見つけるといった用途にも活用していきたいとのことだ。
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出版や物流など電子タグによる切れ間のない管理を行う電子タグソリューションを展示したEPCglobalパビリオン |
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ブース内に実車を置いて、レースにおける電子タグの活用をイメージした展示も行われた |
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「ブロードバンド携帯とそのIP化への課題」"
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日本の携帯電話のIP化について語るKDDI株式会社 代表取締役執行役員副社長の伊藤泰彦氏 |
最終日、一番最初の基調講演を行ったのはKDDI株式会社 代表取締役執行役員副社長の伊藤泰彦氏だ。携帯電話のブロードバンド化にいち早く取り組んでいる立場から、業界が向かうべき方向やその課題、問題点について語った。「かつては通信インフラがインターネットを支えていたが、現在はインターネットが通信を支えるようになった。これによってメディア間のバリアの解消や新しいビジネスモデルの台頭などが起こっている」と現状について述べた。日本のインターネットユーザはカーブを緩やかなものにしながらも、着実にその数を増やしている。その中で約330万人が携帯電話からメールやWebを活用しており、すでにパソコンからの利用者数を抜く勢いとなっている。これまで電話やメールが中心であった携帯電話の利用形態は十分に社会基盤として成熟している。ここに電子マネーや映像・音声など各種メディアのハブ機能が追加されることで、個人のゲートウェイとしての役割を担いつつある。「この状況をさらに加速するのが、端末間のアクセス制御やコンテンツ制御を行うID連携・ポータル連携といった携帯電話のIP化である」と伊藤氏は言う。同社は携帯電話のIP化を2008年3月までに完了する予定だという。「IP化によって変化するのは携帯電話だけではない。固定電話と携帯電話、その他の機器がオープンな環境下で繋がることが重要だ」と締めくくった。 |
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「モビリティ:競争上の優位性を変える新たな時代へ」"
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スマートフォンの展望について語るノキアエンタープライズ・ソリューションズ モビリティ・ソリューションズ 副社長のスコット・クーパー氏 |
続いてノキアエンタープライズ・ソリューションズ モビリティ・ソリューションズ 副社長のスコット・クーパー氏が、ワールドワイドの視点からモビリティに関しての講演を行った。「現在、世界の携帯電話市場の10%でスマートフォンが利用されている。今後は20〜30%がスマートフォンに置き換ると予想しているが、それにはアプリケーションとセキュリティ両面での強化が重要である」とクーパー氏は現状と今後について分析する。世界では12億のメールアドレスが存在する。その半数の6億がビジネスアドレスであり、その中の500〜600万のアドレスがモバイルデバイスからのアクセスであるという。「電子メールはいまや重要なビジネスアプリのひとつであり、端末からビジネスアドレスにアクセスできる環境はキラーアプリになりうる」と述べ、この市場を拡大するためには端末の低価格化や供給の面での強化が必要だと語った。
多くのユーザがモバイルから会社のデータにアクセス可能な状況が生まれることで、会社の外で活躍する機会の多い営業職はビジネス機会を増やすことができる。しかし組織として情報や端末をどのように管理するかといった新たな問題も発生する。これまでは単なるツールだったものが、保存されたデータや社内のリソースへのアクセスパスを得ることでひとつの資産として認識される時代へと移り変わっている。「ユーザは1つの機器を提供されるのではなく、複数の選択肢を求めている。モバイル機器によるビジネスを加速するためには、多くのベンダーが競争しあうと同時にそれぞれの機器が同じ情報へアクセスできるミドルウェア作りも重要である」と結論づけた。 |
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「変貌するインターネット」"
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Internet3.0をキーワードにワイヤレスブロードバンドの必要性とメリットについて語るインテル コーポレーション インテル・シニアフェロー コーポレート・テクノロジー統括本部 コミュニケーションズ・テクノロジー・ラボ ディレクターのケビン・カーン氏 |
Interop Tokyo 2006の基調講演の最後を飾ったのはインテル コーポレーション インテル・シニアフェロー コーポレート・テクノロジー統括本部 コミュニケーションズ・テクノロジー・ラボ ディレクターのケビン・カーン氏だ。キーワードは「Internet 3.0」。未来の子供達が今のインターネットを懐かしむというストーリーの映像が会場に流され、ワイヤレスブロードバンドの普及の必要性と新たなソリューション/ビジネスモデルについて語った。
今や一般の人々が利用するインフラとなっているインターネットは、元々は軍用であり研究者同士が大量のデータをやり取りすることからスタートした。企業/個人を問わず膨大な量のデータやコンテンツをネット上でやり取りする今の状況は、仮想空間と実空間の融合が進んでいると言える。限られた範囲で利用されていた時代からは考えられなかった悩みや痛みが出現しはじめた。「インターネットは限られたユーザにとって便利なものから、すべての人々にとって必要不可欠なものになっている。これからのインターネットに求められるのは、都市部と郊外での接続性の格差の解消や移動通信に対応したサービスだ」と述べた。
ひとつの解決策が、日本でも実用化が進んでいるワイヤレスブロードバンド技術「WiMAX」だ。繋がる場所と繋がらない場所、高速通信と低速通信といった格差がなくなり、さまざまな場所から安定したインターネット接続が利用できるようになる。これがInternet 3.0の第1段階であると言う。次の段階は個人に合わせたコンテンツやサービスの提供だ。現在でもユーザに合わせた情報提供が行われているが、さらに位置情報の検出や各種センサーから得られる情報を元にしてTPOに添ったピンポイントの情報を、必要な時に必要な場所で提供できるようになる。「さまざまな機器から得られるデータと既存の情報のカップリングによって新たなビジネスモデルが誕生することが期待される」とカーン氏は語った。
Internet 3.0を構成するさまざまな要素は、すべてInterop Tokyo 2006の中で発表や展示が行われているもの。Net 2.0そしてInternet 3.0を目指していくネットワーク社会にとって、Interopから発信するメッセージは今後さらに重要なものとなっていくだろう。 |
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
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Livedoor Wirelessラウンジ。取材時は隣のShowNetTVでアイドルイベントが行われており、その模様がストリーミング配信された |
非常に多くのプロダクトとソリューションが並ぶInterop会場で、ちょっと足を休める場所なのが会場の両端に用意された2つのCafe。1つ目はInterop Media Convergence会場にあるLivedoor Wirelessラウンジだ。ちょうど同社のブースとShowNet TVのスタジオが一望できる場所にあり、Livedoor Wirelessでインターネット接続しながら各種デモンストレーションを楽しむことができる。会期中はいつも盛況でパンフレットを見ながらお茶を飲む参加者の姿が見られた。
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ShowNet Cafeでは自由に端末を使ってShowNetの高速な接続環境を体験できたほか、各種デモンストレーションが行われた |
会場の反対側、HALL1にあるのがShowNet Cafeだ。こちらは設置されたデスクトップマシンでインターネットを利用できる。実はこのShowNet Cafeでは興味深い展示も行われていた。それは「山田オルタナティブ」ウイルスの実演だ。個人情報流出問題でこの名前を目にした人は多いが、実際に感染している現場を目撃した人はごく少数であることは間違いない。仮想ネットワーク上に接続されたマシンを使って実際にその場で山田オルタナティブを実行、外部からのフォルダアクセスやスクリーンショット撮影など「なるほど、こんな風に動作しているのか」と感心してしまった。また同じく仮想ネットワーク上でWinnyを複数動作させ、それぞれのキャッシュが補完されていく様を可視化することで転送の仕組みを目にすることができた。
この展示はそれぞれのソフトを糾弾する目的ではないと言う。不確かな知識でセキュリティ対策を施したと思い込まないために、実際の動作を見てもらうことで理解を深めてほしいとのこと。隣接したセキュリティ関連ブースからは「個人情報の漏えいはWinnyそのものが原因ではない」という言葉が聞こえていた。「Winnyを締め出せばセキュリティ対策は万全」と思い込んではいないだろうか? |
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
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閉会10分前の会場内。最高潮に達した熱気は展示会終了まで冷めることはなかった。 |
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昨年に引き続き来場者数の記録を更新したInterop Tokyo 2006が閉幕した。原点・原則に立ち返る「Back to the Fundamentals」、そして新たな時代を目指す「Net 2.0」。過去と現在、未来を真正面から見据えるこのテーマに挑戦した5日間となった。また今年は新イベントInterop Media Convergenceが生まれ、変革著しい放送業界に対しても、数々のデモンストレーションを通じてメッセージを伝える役割を果たした。Interopが送るメッセージはこれまで2〜3年後にようやく現実のネットワークに反映されてきた。しかし変化のスピードが速まっている今、1年後あるいは半年後には環境が入れ替わる可能性もある。Interop Tokyoから発信したメッセージを受け取った来場者が、これからのネットビジネスやインターネットそのものに大きな影響を与えていくことを期待したい。 |
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