STM体験記

STM体験記

Dさん(学生 : 男性)の体験記

大量のUTPとファイバーに囲まれて、STM全員がひとつの部屋に集まり、ケーブルを巻く。
全員が怪我もなくInteropが終わろうとしている。このSTM生活ももう残りわずかとなった。ShowNetで使われたケーブルを綺麗に巻き、STMとしての全作業を終える。名残惜しい気持ちを誰もが胸に秘めながら、花火のように、綺麗に輝いて一瞬にして散る最先端で大規模なネットワークShowNetが今、完全撤収する。

私は、今年2回目の参加になる。Interopには来場者として何度か来たことはあったが、昨年、始めてSTMとして参加した。右も左もわからない中で、大規模で最先端のネットワークの構築に参加した。去年は、ベテランのリーダと社会人のネットワークエンジニアに学生の私というグループだった。何もわからない私に、仕事の意義や手順をわかりやすく説明してもらいとてもやりやすかった。そして、多少でもShowNetの役に立てたと思うととてもうれしかった。初参加のSTMとしてとても多くの喜びをもって帰ることができた。今年2度目の参加をしたいと思ったのも、このよきグループに恵まれたためであろう。

初めてのSTMでは、私は、ふだん大きなネットワークに触れる機会などなく、Interopでは、大規模で最先端のネットワークを扱う為、わからないことがたくさんあった。たくさんのことを、リーダやNOCメンバーの人に尋ねた。
彼らはとても熱心に、しかも丁寧に説明してくれた。それが、私にとってとても嬉しかった。ともに、この大きなネットワークを相手に作業をしていることに胸をわくわくとさせた。そんな思いを抱いた私は、構築の初めからこのネットワークを見てみたいと感じた。そして次は、ShowNetのネットワークを初めから構築できるHotStageからの参加を希望するようになった。
今年のSTM説明会ではHotStageからの参加を希望した。事務局から、「HotStageからの参加です」というメールを見たときにはとても嬉しかった。
しかし、ふだんはネットワークにかかわることない私が、皆さんの足手まといにならないかという不安があった。

HotStageの初日が来た。午後からの集合で会場へ行ってみると、午前中かなりの人が作業をしていたようで、仮設のネットワークや作業スペース、ラックの配置などが終わっていた。まずは、顔合わせの全体ミーティングをして作業スタートした。全員で機器のラックマウント作業からだ。私は、ベテランのHotStageから参加のSTMの人とグループになり進めていくことになった。これだけは、やる気さえあればなんと仕事になる作業だと思っていた。しかし、そんな甘い物では無かった。ShowNetで使われる機器の数はとても多いがほとんどのラックマウントはその日の午後から行いその日中には終了してしまう。慣れた人の作業はとても手際が良い。ShowNetの1つの見ものであるマルチベンダー環境はこのラックにまで及んでいた。一台で要領をつかんでも隣のラックに行くとベンダーが違い手順も違ってくる。各ベンダーによって、マウントの仕方が違っていて躊躇していると、周りの人が手際よくこなしていく、その姿を見様見真似で私も必死で作業をした。
徹底された、マルチベンダーの環境に関心した。こんな体験はここでしかできないだろうとShowNetのすばらしさに関心をした。

次の日からは、ケーブル配線と機器の設定が徐々に進む、ふだんネットワークを管理したことがない私にとって、機器の設定はハードルが高かった。ベンダー、NOCの人、先輩STMに助けを借り、迷惑をかけながらの作業になった。分からないことがある時に質問することはテクニックが必要だった。学校ではないし、皆も暇なわけではない。解らないことを解らないままにしておくのは後々の作業を遅らせるたり問題を生みかねない。だが、どれだけ自分で解決をしてどこを聞くか、そしてどのように聞くか。正確に不明点を説明して教えてもらう必要があると痛感した。
質問をするまでの自己解決の方法も大切なスキルになる。また、限られた時間の中で、質問というのも大切な手段である。私は、質問をして、忙しい人の手を止めてしまったり、全体の作業をとめてしまったりということが多くあったと思う。作業の遅さを承知で仕事を割り当てたり、質問に付き合っていただき色々な経験をする機会を与えていただいた皆さんにとても感謝している。

HotStageの6日間はあっという間に過ぎていく。朝晩、全体ミーティングが行われ毎回ネットワークの問題点が議論される。時にはトポロジが変更になり、トラブル解決のため熱い話し合いが毎日繰り返される。そんな熱気のある場面に同席できることはと刺激になる。聞いたこともない最新技術を耳にしたり、トラブルの解決の過程を大まかではあるが知ることができたりと貴重な内容の話がいくつも聞ける。いくつか抱えていた問題も、日に日に解決されていく。
この大規模なネットワークが、あっという間に完成していきそのすばらしさに私は圧倒されていた。出展者の接続以外のネットワークが完成するといったん撤収。幕張メッセの本会場に搬送するために、搬送業者に梱包して運ぶことができる状態まで準備する。撤収はどうして、こんなにあっという間にできるのだろうと思うほど短時間で終わってしまった。6日間かけて準備してきたものが瞬く間に終わってしまうと寂しさを感じた。ともに、HotStageでの皆さんの作業の手際よさには非常に感動した。

HotStageが6時に終わり、次の日の3時までちょっとした休みがあった。STMの体験のうち時間外に行われる他のSTM、NOCの皆さんと交流できる。こうした人たちの交流は私にとって、貴重な時間である。お酒を飲みながら、学生ではふだん体験できない社会の話を色々とくことができた。こんな体験は他のいかなる場所でできることができない。副産物だがこれも貴重な経験のひとつであった。

そして会期が始まる。プレショーミーティングで会期から来る新しいグループの顔合わせをした。HotStageからのメンバー1人と会期からの2人で3人のグループになる。同じグループの人は、みんな社会人であった。正直戸惑いがあった。私は、学校にInteropに行ってきますと一言言ってきた身だが、社会人の人は大変な苦労をして来ている。意気込みは同じでも、学生の何倍もの苦労をしてきた人に去年のリーダのように満足に説明ができるかと不安に感じた。1年ぶりの会期作業、アサインされた作業手順が悪くグループを混乱させてしまって焦った。同じグループの人に助けられ、何とか軌道に乗った。
HotStage組みのメンバーとしては失格かもしれないけれど、去年私が最後に感じた「また来年も来たい」この気持ちを今年始めて来た新しい人にも少しで持ってもらいたいと思った。初めは、何もわからず言われるがまま、淡々と作業をこなす。上手くコミュニケーションしないと最後までただ作業をしているだけになってしまう。去年は、「来年からはもういいや」、帰りがけにそんな話をして別れたメンバーがいた。そんな風になってしまうのは悲しい。技術的には何も伝えられなくても、STMとしての楽しさなら少しは伝えられるのではないかと思い意識して活動した。Interop会期本番に近づくと少しずつ余裕ができて、色々な人と夜お酒を飲みながら話す機会があった。NOCやSTMの人と時間を忘れて熱い話を色々とした。

こうして、2週間余りのSTM期間があっという間に過ぎ去った。気がつけば、私は今ケーブルをせっせと巻いている。もう今年のInteropも終わってしまうんだと思うとなんだか胸がいっぱいになった。STMは勉強の連続だった。去年よりも、多くのことを経験し、多くの人と交流できたと思う。去年の何十倍もの経験をした。言葉では簡単に言い表すことはできないがInteropとは現実ではなく異次元の世界に来た気分になる。毎日がInteropならもっともっと大人になれるだろうかと思う。しかし、現実はそうではなくてこの経験を胸に毎日の生活を変えて行かなくてはならない。

こんな大規模なネットワークの構築に参加できたことに私は誇りに思っている。お世話になった皆さんに心から「ありがとうございました」といいたい。Interopは技術の楽園であった。忙しくてちょっと眠い時があったけど。本当に充実した時間を過ごせたと思います。また来年も、この楽園に行けるよう頑張って日々の生活をしていきたいです。

このページの先頭へ

  • 出展社専用ページ
  • プレス専用ページ
  • メディアスポンサー
  • IAJapan
  • CMP