Daily Report

2006年6月8日(木)<前編>

すべてのソリューション/プロダクトが次世代を目指す
NET 2.0時代に乗り遅れるな!!

「IP統合DAY」と題して基調講演やセミナーが行われたInterop Tokyo 2006の2日目。午前中から多数の来場者が会場に詰めかけ、初日を上回る盛況ぶりとなっている。本日のレポートはパビリオンの紹介と基調講演&特別講演を中心にお届けする。

広いセキュリティからピンポイントのセキュリティまで
セキュリティパビリオン

 情報漏えいや不正アクセスなど、企業ネットワークに求められるセキュリティ対策は多岐にわたっている。Interopではこれまでにもセキュリティパビリオンを中心に、ネットワークに対するセキュリティ対策プロダクトやソリューションの展示を通じて知識の提供を行ってきた。Interopの基幹ネットワーク「ShowNet」では以前、インフラの面はNOCメンバーが、セキュリティの面はSOCメンバーが行っていた。しかし現在ではその2つが融合して1つのNOCメンバーとしてネットワーク管理にあたっている。それと同様に会場内で展示されているプロダクトやソリューションもセキュリティへの考え方を組み込んだものが増加し、ある意味でInterop全体がセキュリティパビリオンと言えるような状況へと変化しつつある。その中でセキュリティパビリオンは、これから重要視されるだろうテーマを扱う先鋭的な場として機能している。
重要性が高まると同時にネットワーク全体へと浸透しつつあるセキュリティ関連プロダクトを集めたセキュリティパビリオン
セキュリティパビリオン内に設置されたプレゼンテーションステージでは現場からの生のセキュリティ対策についての話が目白押しだ
 今年のセキュリティパビリオンではセキュリティに対する知識の提示とVPN製品を中心とした展示が行われている。特にVPN関連プロダクトは非常に多くの種類が並んでおり、それぞれの違いや自社にとってどのソリューションが最適かをじっくりと見比べることができる。またセキュリティゾーン内ではやはり「Winny」というキーワードを良く耳にする。しかし「Winny対策が必要」ではなく「セキュリティ対策にはWinny以外にも目を向けるべきだ」というもの。「世間で言われているから、その対策をしよう」ではない高いセキュリティ意識が必要だと感じさせてくれた。

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Interopを裏側から伝える・分かる・楽しめる
ShowNet Technology Workshop

オープンソースに関するプロダクトやソリューションを扱ったオープンソースパビリオン
 オープンソースソリューションを企業や行政が導入するとニュースに取り上げられる現在。完全に浸透したとは言えないものの着実に勢力を拡大しているのも事実だろう。このオープンソースにフォーカスしたオープンソースパビリオンは、そんな現状を反映してプロダクト&ソリューションを提供するベンダーと、そのサポートを受け持つ企業で2つの側面からの展示を行っている。
VA Linux System JapanのVA Quest部隊 隊長の小田氏によるプレゼンテーション。多くの来場者からの注目を浴びた
 ステージで行われたVA Linux Systems Japan(株)のプレゼンテーションでは、オープンソースに関するメリットとデメリットに関する発言が飛び出した。「オープンソースを活用することで製品のコストダウンが見込める一方で、誰がサポートするのかという問題が起こりうる」と同社のVA Quest部隊 隊長の小田氏は語った。システム開発をオープンソースに頼った場合、その開発者とのコミュニケーション手段を持っている企業やSIerは非常に少ない。さらに、何か問題が発生してもオープンソースコミュニティ側に問題を解決する義務はない。このため導入したシステムにトラブルが発生した場合に誰がどのような形でサポートを行い、どこがその費用を負担するかが不透明であると言う。単に低価格だからという理由でオープンソースを選択するのではなく、技術的な面を含めたサポートのできる体制作りが今後のオープンソースの発展に重要だと言えるだろう。

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未来のInteropはここから始まることもある
ベンチャーパビリオン

先進的なプロダクトがひしめき合うベンチャーパビリオン。ひとつひとつのブースで魅力ある展示が行われている
 Interop Tokyo 2006には7つのパビリオンと1つのShowCaseがあるが、ベンチャーパビリオンはこの中でも一番バラエティに富んだゾーンだと言えるだろう。現在はまだカテゴライズされていないプロダクトやソリューションが一堂に会している状態だが、高速にメインストリームが変化するIT業界の中で、来年以降には1つのカテゴリを占めるかもしれない原石だらけのパビリオンなのだ。
 昨日のBest of Show Awardのベンチャー部門でグランプリを受賞した(株)ネットディメンションの「MatrixEngine 3D Solution」や、特別賞を受賞した(株)蒼天の「LogVillage」もこのパビリオンで実際に目にすることができる。ぜひベンチャーパビリオンに足を運んで次世代のインターネットのメインストリームを目指す製品群を体験してほしい。

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基調講演レポート3
「安心・安全なユビキタス社会の実現へ向けて」

 展示会2日目は「IP統合Day」をキーワードに、IP統合がもたらすユビキタス社会とそこで必要とされる技術やソリューションについての基調講演が行われた。本日1つ目の講演はマイクロソフト株式会社 代表執行役 社長のダレン・ヒューストン氏が行った。最初に日本におけるインターネットの状況について「現在日本はインターネットの先進国のひとつであるが、そこで利用されているPCやソリューションの多くが古く、互換性に乏しいシステムであり多種多様な機器や技術が存在するインターネットにおいてはインターオペラビリティの問題が数多く存在する」と延べ、インターオペラビリティ不在の状況がセキュリティシステムの妨げとなっていると分析した。最近問題となった株式市場のシステムダウンやさまざまな企業の情報漏えいについても触れ、レガシーシステムからの脱却を強く求めた。さらにレガシーシステムが存在を続けることで、新しい技術を学んだ技術者がそのスキルを活かす場所が得られず、古い技術者が退職すると同時にシステムを管理できなくなるだろうと警告する。これに対してマイクロソフトでは使いやすいインターフェースを配した新しいソリューションを導入し、それに対応できる社員を育成することで効果的に情報を使って仕事ができる下地作りを進めているという。
 そのひとつの方法として提供するのが次世代のWindowsであるWindows VistaとサーバーソリューションのLonghornだ。ここで同社のITProエバンジェリストの田辺茂也氏によって、USBメモリによる情報漏えい対策としてサーバーサイドからのUSBメモリ利用許可の制御やハードディスク全体の暗号化、さらにVistaに搭載された双方向型のファイアウォールなどのLonghorn/Windows Vistaのデモンストレーションが行われた。
日本企業のネットワークの変革を求めるマイクロソフト株式会社 代表執行役 社長のダレン・ヒューストン氏
LonghornとWindows Vistaのデモンストレーションを行うマイクロソフト株式会社 ITProエバンジェリストの田辺茂也氏

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基調講演レポート4
「IP-NGN この世代の標準」

印刷や通信の発達過程を例にNGNの未来を語ったシスコシステムズ社 サービスプロバイダールーティング技術グループ 上級副社長兼ジェネラルマネージャのトニー・ベイツ氏

 続いての基調講演はシスコシステムズ社 サービスプロバイダールーティング技術グループ 上級副社長兼ジェネラルマネージャのトニー・ベイツ氏によって行われた。「NGN=Next Generation Networkは印刷技術の発達に似ている」とベイツ氏は言う。活字の発明に始まる印刷技術の発展は、一般の人々が情報へアクセスする上で大きな転換期であった。さらに情報の伝達は通信へシフトし、のろしやモールス信号、電話、そしてネットワークコミュニケーションとさまざまな形へと変貌を遂げている。そこで重要なのは伝達方法の標準化であった。インターネットは「IP」を手に入れたことで、非常にバリエーション豊かな伝達方法を手に入れた。
 NGNでは映像や音声などのコンテンツが非常に重要な位置を占めており、これらを扱うために必要なネットワーク形態が変化する。しかし映像コンテンツを自由に扱えるネットワークが果たして必要なのかという議論もある。ベイツ氏は1865年のある新聞記事を引用することでNGNの秘めた可能性を示唆した。その記事は電話について論じられたもので「音声を有線で送ることは必ずしも有益なことではない。きっと利用者は興味をしめさないだろう」と結論付けている。しかし現在電話は非常に重要なコミュニケーションツールのひとつとなった。NGNが次世代のネットワークとして成功するために、ベイツ氏は必要とされるネットワークに対応できる機器の開発を行うとコミットして締めくくった。

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