Interopとは?
開催概要
実行委員長からのご挨拶
THE REAL ~本当のインターネットとは?~
インターネットの普及が始まって20数年、そしてスマートフォンの普及が始まって約10年が経とうとしています。
インターネット革命によって世界も産業構造も大きく変わり、例えば現在のアメリカでは、時価総額ランキングのトップ10に1994年以降に誕生した企業が3社入っており、イノベーションによる新産業が確実に創出されていることがわかります。
一方、同様の視点で見た時に、日本国内においてはトップ10に入っている企業は1社もおらず、新産業創出が進んでいるとは言い難い状況にあります。また、過去20年間のGDPを比較しても先進国が伸ばしている一方、日本のGDPは、20年前とほぼ変わっていません。これはインフラ整備が進んだものの、インターネットの利活用は世界と比較したときにまだまだ進んでいないことが原因のひとつだといえます。
私たちは、世界でもトップレベルのインターネット環境の構築することが出来たと考えます。そしてそれはこれからも継続して発展させるべきだと考えます。
一方で、インターネットの本当の価値ということを再度考える必要があるのでは無いかと考えます。例えばインターネットによって私たちの時間や場所という概念が、今までとは全く変わったものになりました。日本企業が取り組むビジネスにはそのようなエッセンスが活かされているでしょうか?Google, Facebook, Amazonといった世界トップレベルのインターネット企業の例を見るとわかるとおり、インターネットがつないだ世界全体が彼らの舞台になっていることは明らかです。また、最近ではUberの様にタクシーを自社では1台も保有しないような企業、Air B&Bの様に自社では1つも宿泊施設を保有しないような企業がインターネットテクノロジーを使って世界を舞台に大きな躍進を遂げています。
この1,2年は、IoT (Internet of Things)が世界中から脚光を浴びており、多くの企業が新しい技術開発や新たなビジネス企画が盛んに行なっています。しかし、単にバズワードに振り回されるのでは無く、皆さんともう一度インターネットの本質を考え直してみることをここで提言したいと思っています。皆さんがご存じの通り、この先我が国の少子高齢化はますます進んでいきます。日本がこれからも先進国として活躍していくには、生産性と国際競争力を高めていく必要があります。私たちは、それを実現するためにはインターネットを再度見直し、これからのビジネス活動に最大限にそのチカラを活かして頂きたいという思いをこめて、今年は「本当のインターネット」をスローガンに開催します。
Interop Tokyoの場が「今」の挑戦への成果を披露することに加えて次の時代を見据えたビジョンを議論する場、体験できる場となり、そして参加者すべての新たな扉を開く場になることを楽しみにしています。
Interop Tokyo 実行委員長
慶應義塾大学 環境情報学部長・教授
村井 純
Interop Tokyo 実行委員会
実行委員長
村井 純 | 慶應義塾大学 環境情報学部 学部長 |
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実行委員
長崎 忠雄 | アマゾン データ サービス ジャパン株式会社 代表取締役社長 |
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庄司 哲也 | NTTコミュニケーションズ株式会社 代表取締役社長 |
吉澤 和弘 | 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ 代表取締役社長 |
中村 修 | 慶應義塾大学 環境情報学部 教授 |
中村 伊知哉 | 慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科 教授 |
チョン キルナム | 慶應義塾大学 政策・メディア研究科 教授 |
夏野 剛 | 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特別招聘教授 |
田中 孝司 | KDDI株式会社 代表取締役社長 |
前川 徹 | サイバー大学 IT総合学部 教授 / 一般社団法人コンピュータソフトウェア協会 専務理事 |
鈴木 みゆき | シスコシステムズ合同会社 代表執行役員社長 |
古屋 知弘 | ジュニパーネットワークス株式会社 代表取締役社長 |
鎌田 信夫 | 株式会社ソリトンシステムズ 代表取締役社長 |
本間 康文 | 株式会社東京放送ホールディングス / 株式会社TBSテレビ メディア戦略室 参与 |
江崎 浩 | 東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授 |
藤原 洋 | 株式会社ナノオプト・メディア 代表取締役社長 |
大橋 文雄 | 日商エレクトロニクス株式会社 取締役 |
河村 厚男 | 日本電気株式会社 執行役員常務 |
野村 泰嗣 | 株式会社日立製作所 理事 システム&サービスビジネス統括本部 CSO |
王 剣峰 | 華為技術日本株式会社 代表取締役社長 |
香川 進吾 | 富士通株式会社 執行役員専務 CTO デジタルサービス部門長 |
田丸 健三郎 | 日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 ナショナルテクノロジーオフィサー |
谷崎 勝教 | 株式会社三井住友銀行 取締役 専務執行役員 |
後藤 滋樹 | 早稲田大学 理工学術院 情報理工学科 教授 |
敬称略、2017年5月29日時点
プログラム委員会議長からのご挨拶
After The Internet = 再起動・覚醒するInterop Tokyo
Interop Tokyoは、インターネットを産み出し、それまでの国を基本にしたアナログエコノミーを、グローバルなデジタルエコノミーへと進化させました。 デジタル化とネットワーク化が、インターネットの大きな本質です。「デジタル化」は、アナログのコンテンツの複製・流通コストを劇的に低下させたピア・ツー・ピア技術を用いたデジタルコンテンツの共有システムやストリーミングビジネスの段階を経て、いよいよ、デジタルネイティブなコンテンツを用いた異次元のビジネスを産み出しつつあります。 コンピューティングパワーの進歩によって、オブジェクト・オリエンティッドなVR(仮想現実)やAR(拡張現実)が主役のコンテンツビジネスや実空間と融合したサイバー空間を用いたビジネスコンテンツが登場してきています。 インターネットのもう一つの大きな本質である「ネットワーク化」は、これまでの、コンピュータで構成されるサイバー空間の壁が崩壊し、サイバー空間が、コンピュータの空間をはみ出し、すべての既存(産業・社会)空間を侵食する段階へと突入しようとしています。 これは、IoT(Internet of Things)の一つの捉え方かもしれません。ある意味、インターネットが次の段階に突入しつつある「After Internet」と捉えることができるでしょう。 「インターネットの存在が前提」で、「デジタル」が前提の社会でありインフラです。
ほぼ半世紀を経たInterop Tokyoの歴史を振り替えると、Interop Tokyoは「ウェブ(Web)」によって覚醒しました。 ほぼ、完全なる自律分散システムです。その後、Web2.0と呼ばれるインターネット上に構築されたサーバー群から構成されるクライアント・サーバー型のビジネス構造が導入され、集中型のシステムへと退化してしまいました。現在、インターネットは、普通の人やビジネスマンからは見えない存在になっていますが、見えなくなっているがゆえに、その存在が前提となりました。 今、認識されている大きな波は、「IoT(Internet of Things)」、「人工知能」そして「ビッグデータ」です。 これらは、すべて、インターネットの存在とデジタル化を前提にしています。これらは、現在「Cyber Twin」の段階にあり、その次の段階である「Cyber First」の芽が吹きだそうとしています。 この「Cyber Twin」と「Cyber First」は、現在のインターネットが持つ本質(すなわちアーキテクチャ)が、より大きな空間をハッキングし、再起動・覚醒させようとしていると捉えなければならないでしょう。 すなわち、After Internetにおける 「Interop Tokyoの再起動&覚醒」です。
現在のIoTは、実空間の「スマート化」とも呼ばれ、サイバー空間が物理空間の神経系として、実空間の管理・制御を担います。現在の「物理空間のスマート化」に続いて、サイバー空間の計算能力の向上は、実空間のコピーをサイバー空間で作成し(Cyber Twin)、実空間を制御するように進化しています。さらに、次の段階として、サイバー空間で、CPS(Cyber Physical System)のほぼ完全な設計・シミュレーションを行い、その結果に基づいて必要となる実空間の物理オフジェクトを生成するようになりつつあります。すなわち「Cyber First, Physical Second」です。 このような、システムは、「ソフトウェア・デファイン(Software Defined)」のシステムとも呼ぶことができるでしょう。
実空間の設計を、すべて ソフトウェアで行うからです。 Software Definedのシステムにすることで、迅速な設計や修正が可能になり、Agility(迅速性)と Flexibility(柔軟性)が劇的に向上することになります。
サイバー空間は、実空間の法則、特に 時間と空間に関する法則を超越することになります。人は、サイバー空間を利用することで、実空間の物理法則に縛られない「超能力」を手にすることができるようになってきています。 その結果、「サイバー空間が実空間を超越し、さらに設計する」のです。デジタルフォースの覚醒です。さらに、人工知能によって、人間の知識や経験がオンライン化され、収集・集約され莫大なデジタルデータとなって、解析可能となりつつあります。すなわち、人間の知識・経験がデジタル化・オンライン化・ネットワーク化されることで、サイバー空間と「交じり合い・混じり合う」ことになります。 人間は、物理空間で、その知識・経験を共有し、それを分析することが可能でありますが、その共有には、物理法則の制限が存在します。 しかし、デジタル化された知識・経験は、物理法則を超えて共有可能であり、さらに分析可能となります。 その結果、サイバー空間は、「人・脳」を超える存在となります。 このような、サイバー空間が、人・脳の能力を超える現象は、既に少なからず発生しています。 これを、人工知能の領域における Singular Point と呼ぶ人も少なくありません。
Interop Tokyoは、インターネットを構成するための 相互接続性すなわちInteroperability を確立し、それから新しいイノベーティブなビジネスを創生することをそのミッションとして活動を続けています。 すべてのコンピュータを相互接続するのです。 その結果、サイバーセキュリティーは、デジタルエコノミーを維持し継続運用・継続進化させるための、最重要課題となりました。 これまでの、Security-Second の設計思想は、Security-Firstともいえる、Security-by-Designで行わなければならなくなりました。すべてのデジタル機器、すべてのシステム、すべての産業を、相互接続させ、一度ばらばらに分解し、プログラム(=コード)を用いて再起動し、新しいビジネスモデルが覚醒させるプロセスが始まっているのです。
Interop Tokyo 2016は、「コネクテッド・インターネット・エコノミー」をテーマとして、これまでのインターネット業界だけではなく、未開の空間とビジネスセグメントをも取り込みながら・巻き込みながら、インターネットが拡大・成長する 「インターネットの(新たな)覚醒」を意識していました。Interop Tokyo 2017は、「インターネットの(新たな)覚醒」の息吹を感じる機会となるでしょう。
Interop Tokyo 2017に参加される皆様には、この機会を最大限に活用していただき、最先端のデジタルエコノミーを牽引する最新の技術・ビジネスの動向と現状を把握し、ますます加速するインターネット革命を生き抜くに資する、叡智を発見・体験する契機としてご利用いただければ幸いです。
Interop Tokyo 2017 プログラム委員会議長
東京大学大学院
情報理工学科 教授
江崎 浩
Interop Tokyo プログラム委員会
議長
江崎 浩 | 東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授 |
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副議長
門林 雄基 | 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 教授 |
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ファウンダー
高橋 徹 | 株式会社インターネット戦略研究所 代表取締役会長 |
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アドバイザー
冲中 秀夫 | Techno-Visionary 代表 工学博士 |
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近藤 邦昭 | 株式会社まほろば工房 代表取締役 |
砂原 秀樹 | 慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科 教授 |
藤原 洋 | 株式会社ナノオプト・メディア 代表取締役社長 |
アドバイザー&エディター
本林 良太 | 日本電気株式会社 コーポレートマーケティング本部 マネージャー |
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プログラム委員
石塚 宏紀 | KDDI研究所 グリーンクラウド部門 データマイニング応用グループ 研究主査 |
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伊勢 幸一 | さくらインターネット株式会社 取締役 |
大江 将史 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構国立天文台 天文データセンター 助教 |
小野寺 好広 | シスコシステムズ合同会社 シニア・ソリューション・アーキテクト |
斉藤 賢爾 | 慶應義塾大学 SFC研究所 上席所員 |
佐々木 弘志 | マカフィー株式会社 サイバー戦略室 シニアセキュリティアドバイザー CISSP |
田中 邦裕 | さくらインターネット株式会社 代表取締役社長 |
田丸 健三郎 | 日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 ナショナルテクノロジーオフィサー |
寺田 真一郎 | カリフォルニア大学バークレー校 日本研究センター 客員研究員 |
中川 郁夫 | 株式会社インテック プリンシパル / 大阪大学 招聘准教授 博士(情報理工学) |
中西 克彦 | NECネクサソリューションズ株式会社 |
長谷川 順一 | 株式会社Preferred Networks 取締役 最高執行責任者(COO) |
平井 則輔 | ソフトバンク株式会社 テクノロジーユニット ネットワーク本部 国際サービス開発部 / JANOG 副会長 |
満永 拓邦 | 東京大学大学院情報学環 特任准教授 |
山下 達也 | NTTコミュニケーションズ株式会社 理事 技術開発部長 |
50音順敬称略、2017年4月5日時点