Endless Possibilities ここから広がる「コネクテッド・エコノミー」

20世紀のインターネットの方針は、地球上のすべての「人」を繋ぐことでした。 コネクテッド・ピープル、IP for Everyone でした。 21世紀のインターネットの方針は、地球上のすべての「もの」を繋ぐ、コネクテッド・シングズ、IP for Everything すなわち、IoT(Internet of Things)です。 IoT は、単に「モノ(Things)」を繋ぐものではありません。 「人」がつながることで、たくさんの イノベーションが生まれ続ける環境が構築されました。さらに、「モノ」がつながることで、産業活動や社会活動の物理的な障壁がなくなることになり、実空間の活動に関するイノベーションが生まれ続ける環境へと向かいます。 ビジネスは、「ヒト」、「モノ」、「金」の3つだと言われてきました。 「ヒト」が繋がり、「モノ」が繋がり、そして「カネ」が繋がる。「カネが繋がる」 ということは、エコノミー(経済活動)が繋がるという意味でしょう。 「コネクテッド・エコノミー」の登場です。 まさに、2014年の Interop Tokyoのテーマは「To the Next Connected Worldへの挑戦」でした。2015年は、Connected World が産み出す、「Connected Economy」への船出をメインのテーマに据えました。2013年に開催が決まった2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、具体的な仕込みが2015年に着手されることになります。 世界最高品質のスマートシティー東京を、最先端のインターネット技術を駆使して、世界(World)経済(Economy)の核にするような仕組みを実現しなければなりません。日本のように、無線・有線の両方で、ブロードバンド・インターネット環境が整備された国は他にはなく、さらに、インターネット技術を駆使したスマートな社会インフラを持った国には他にはありません。我々は、この 世界最高品質の社会インフラを世界経済(World Economy)と接続する機会を頂いたと考えるべきでしょう。

Interop Tokyoは、1994年にスタートし、インターネット関連産業のビジネスの最前線のショールームとしての役割を果たしてきました。既に、インターネットは全世界をビジネス領域とする社会・経済インフラとなりましたが、今も、新しい可能性を具現化する激しいイノベーションが継続していて、まさに、可能性の持続性(Endless Possibilities)が、閉じた空間ではなく、未開の空間をも取り込みながら・巻き込みながら、進行し続けています。 インターネットは、我々のワークスタイル・ビジネススタイルを常に変化し続けています。このような環境を実現するために、SDNやNFV、あるいは、クラウドコンピューティング、データセンターなどの仮想化技術のバックエンドシステムへの導入・展開が進行する一方で、M2M/IoT、モバイル、スマートデバイスなどフロントエンドシステムのインテリジェンス化が急激に進行しています。さらに、人工知能とインターネットの融合は、現在のインターネットの構造と機能を、根本的に変革しようとしています。さらに、地球環境問題に対して、インターネットは悪者とされていましたが、インターネットが存在しなければ、地球上の人工物の管理と制御は不可能であり、したがって、地球環境問題の解決には、インターネットは必須であり、重要な役割と責任を負っていることも認識されるようになってきました。 グリーンICT も、その意義と方向性が根本的に変化したのです。 一方で、すべての ヒトとモノが繋がり、経済(エコノミー)もつながってしまう環境における、セキュリティーとプライバシーの問題は、深刻かつ最優先で人類が取り組まなければならない重要課題となりました。 すなわち、これまで以上に、頑丈なセキュリティー機能を持ったシステムの構築が必須となることが認識され、我が国のみならず地球の最重要課題の一つとされることになりました。

Interop Tokyo 2015に参加される皆様には、この機会を最大限に活用していただき、最先端のICT技術の動向と現状を把握し、ますます加速するインターネット革命を生き抜くに資する、叡智を発見・体験する契機としてご利用いただければ幸いでございます。

Interop Tokyo 2015 プログラム委員会議長
東京大学大学院
情報理工学系研究科　教授
江崎 浩