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取材協力:(株)シンクイット

ドラスティックな変革が予想される2007年のネットワーク業界を最新情報を基に解説するコンファレンスの内容についてプログラム委員会議長の江崎 浩氏に話を伺った。

踊り場から1歩踏み出すためのコンファレンス

今年のコンファレンスは全体的にシェイプアップして、プログラムを組んでいます。
「Back To Fundamentals」という昨年のInteropのテーマに沿って、内容をもう一度見つめなおし、その上でプログラムを組みました。セッション総数として50を超えるラインナップとなっており、新しいテーマを含めて従来以上に絞り込んだ内容になっています。

これまでは、個々の技術やトピックをバラバラに紹介してきたものが、1つのストーリーにまとまりつつあります。ネットワークに関する業界全体が、階段の踊り場にいて停滞していたイメージから、新しい一段を踏み出して脱出の機運が見られるようになったと感じています。

「NGN」「セキュリティ」「新技術」の3つの柱

全体を通したテーマとしては、「NGN」「セキュリティ」「これからはじまる新しい技術」の3つが挙げられます。

1つ目のNGNは、昨年のInterop Tokyoが閉幕した後、盛り上がりはじめた話題です。それが今回のコンファレンスでは1つ大きなトピックとして登場しています。
これに関連して、NGNに取り組んでいる各社の戦略や特色を話していただくセッションをはじめ、ポリシーやネットワークの中立性までの広いテーマを取り扱います。

続くセキュリティについては、この5年間に特に注目されるようになり、その後2〜3年の間に情報漏洩事件が発生するなど、大きな変化が起こりました。これに対応する形で、セキュリティに関するセッションが実践的な内容に動いてきています。
その一方でセキュリティはすべてのテクノロジーに関連する項目になっており、あるゆる技術に対してセキュリティが切り離せない存在になっているともいえるでしょう。
またセキュリティの意識が高まっている背景のひとつに、2006年末に起こった台湾沖地震があります。この地震によって「グローバルスケールのインフラ全体の話をきちんとしておかなければいけない」という意識が高まっています。台湾沖地震の際に起こったことをレポートしていただくセッションも用意していますので、
ご期待ください。

腰を据えたワークショップと最新動向のセッション群

会期の前半に、ワークショップとして取り上げるものは、それぞれが1日をかける長いものですが、それだけの内容が詰まっています。
セキュリティ面では、セキュリティを確保したWebシステムの構築や、今注目されているDNSセキュリティなどについての内容を予定しています。これらのワークショップでは、企業でインフラの面倒をみているという方にとって、具体的な解決策を提示できると思います。 また、恒例の「ISP構築ガイド」についてはIPv6の内容を大幅に盛り込んで「全面改訂」を行いました。

Vistaの登場によってISP側でIPv6を念頭に置いた構築を行い、さらにオペレーションを行う必要が出てきています。これはISPビジネスを行っている方々にとって今後大きな課題となるでしょう。

セミナーについては、1日目が元マイクロソフトの古川享氏のセッションが中心で、2日目がNGNやガバナンス系の話になります。

そして最終日には、エネルギーやポリシー関連を大きなトピックとして取り上げます。
また、コンファレンスの別の狙いとして、インターネットに関わる若い人材の教育というものがあります。これまでにも「ビギナーズセッション」という形で初級者向けのセッションを行ってきましたが、5年間続けてきたことで内容が一巡し、参加される方々も次のステップを求めていると感じていました。そこで新しく「プラクティカル・ベーシックセミナー」をスタートすることになりました。

1日目は基本的な内容、2日目はIPv6、3日目にはセキュリティと、順を追って最新技術を学んでいただく形になっています。これまで得た知識を踏まえて、企業の中で新たな段階へ登る方々をターゲットとしています。

いよいよ本気の導入が進むIPv6

Interopで長年取り組んでいるテーマのひとつに、IPv6があります。
アメリカでは2008年に連邦政府全体が本格的にIPv6を採用すると発表し、大きく動き出しました。それを受けて、オペレーションの面でIPv6の色が入ってきています。 国内でも、今年はいよいよVistaが登場し、さらにLonghornも予定されている状況で、IPv6のネットワーク設定が現実味を帯びたテーマになっています。
IPv6に携わっている者としてはありがたいことですが、コンファレンスにとってもShowNetにとっても、今年はチャレンジャブルな年だと言えます。これまでのIPv6は「よそいきのIPv6」で、今年はShowNetとコンファレンスが連携して「本気のIPv6」を見せたいと思います。

IPv6の登場の背景にはもう1つ、IPv4アドレスの枯渇問題があります。急激なインターネット利用者の拡大で、実際に枯渇する可能性が、もう目の前にきています。これに対してガバナンスはどうするのかといった、ビジネス寄りのセッションも用意しています。

より実例に近づいたセッションの内容

3つ目の柱である、新しい技術としては、P2Pやコンテンツルーティングがあります。またYouTubeなどストリーミング系の話題も注目されており、IMCと関連してコンテンツビジネスについても取り上げます。 コンテンツビジネスの分野では、YouTubeのブレイクだけでなく、HD DVDとブルーレイの戦いやWiiの登場など、お茶の間の大きなディスプレイでのITメディアの展開が注目されています。

さらに旧来のテレビをはじめとしたコンテンツとインターネットサイドからのコンテンツの戦いも1つのテーマとなっています。 今回のコンファレンスでは、コンテンツに関係して映像を扱う方々の生の声を聞ける場を用意しています。ソフトウェアの部分だけでなく、ハードウェアの部分についても同様で、よりコンシューマを見据えて講演いただく予定です。 逆にコンテンツを提供する側からの技術という点にも着目しています。配信技術の1つとしてP2Pをどのように活用するかについて、これまでの歴史から順を追って解説します。コンテンツを配信するためのネットワークはどうなっているのか、どう進化していくのかについて知ることのできる場になると考えています。 そのほかにも、様々な新しいテーマも取り上げます。

以前はセマンティックWebと言われていた分野の「アプリケーションルーティング」はそのひとつです。また「ルーティング」というキーワードとしては、4バイトASに関連した話題があります。これはShowNetとも大きく関連しており、すでにネットワークの業務に携わっている方はもちろん、これからビジネスをはじめられる方に、非常に関係ある内容だと考えています。
すでにアサインははじまっており、IPv6と同様にこれから徐々にネットワークに入ってきます。しかし、実際にネットワークに入ったときに何が起こるかわからないため、今まさに検証が必要なフェーズなのです。 今年、取り上げることを決めてよかったと考えているのが環境・エネルギー問題です。

これらのセッションは、インターネットの新しい領域を開拓していくと思います。以前にもセンサーネットワークというテーマで取り上げていますが、その当時はまだ温暖化の問題が深刻化しておらず、タイミングが早かったと考えています。しかし今年になって、状況が大きく変化しています。そういう意味では、これはもう1回立ち上げなおしたテーマだといえるでしょう。

最後に

プログラム全体を見ていただけると、NGNやIPv6といったキーワードが随所に入っていることがわかっていただけると思います。

例えばネットワーク管理というテーマではNGNを見据えたセッションがありますし、もう一方でインターネット側から見たNGNという講演もあります。どちらが良い、どちらが好きという問題ではなく、実際に環境として入ってくるものに対してどう対処すればよいか、ということが今年のテーマの1つにもなっています。

また、今年もプログラム委員会セッションを用意しています。ここでは委員会のメンバーが5年後のIPO株を狙って、注目する技術を話します。 Interopとネットワーク業界全体が、踊り場をちょうど抜け出しはじめたところだと思います。ステップを登るためには、これまで蓄積した知識・技術だけではなく、今まさに登場している様々な新しい技術の理解と吸収が重要です。

ぜひコンファレンスに参加して、改めて学習してほしいと考えています。

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