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2007の模様

2日目のInterop Tokyo 2007はNGNとThe Internetユーザが選ぶのはどちらなのか!?

6月14日、昨日の晴天から一転し、雨模様に逆戻りしてしまったInterop Tokyo 2007会場。本日のDaily Reportは、多くの来場者から注目を浴びていた2本の基調講演と、3本のスペシャルセッションにフォーカスしてお届けする。基調講演はIP技術を使った通信の未来を占うもの、そしてスペシャルセッションはInterop Tokyo 2007の秘密に触れるものだ。今回の会期中、その熱さは1、2を争う講演&セッションだ。

今週の要注目プロダクトはこれだ!

Interop Tokyo 2007の出展企業336社が、その総力をあげて開発した製品やソリューションから、今回のテーマにふさわしく、かつ優れたものを決定するのが「BEST OF SHOW AWARD 2007」だ。展示会2日目の本日、朝一番にNOCブース前広場にて受賞製品の発表が行われた。
このアワードは、ノミネートされた製品・ソリューションを審査員が展示会場を実際に見て回り、グランプリと特別賞を厳正な審査によって決定する。展示ブースでのプレゼンテーションで見せる想いや熱意も評価の対象となるという。プロダクト/ソリューション/ベンチャーの各部門があり、それぞれ細分化された分野ごとに選出される。またShowNetで使われた機器から選出されるBest of ShowNetプロダクト部門や、ShowNetを使ったデモンストレーションを評価するBest of ShowNetデモンストレーション部門も用意されている。なお受賞製品についてはオフィシャルサイト上(http://archive.interop.jp/2007/info/bsa/index.html)で発表されているので、そちらを参考にしてほしい。


BEST OF SHOW AWARDの趣旨について語るインターネット総合研究所 藤原 洋氏。

今回のBest of ShowNetプロダクト部門のグランプリ受賞者と記念撮影を行う、プレゼンターの山口 英氏。

受賞者の発表に先立ち、審査委員長であるインターネット総合研究所 藤原 洋氏が「BEST OF SHOW AWARD 2007では、これまでの評価ポイントであった革新性やインターオペラビリティに加え、環境問題への意識が高まっている中、環境への配慮や省エネも重要なポイントとなりました」と、審査の基準について説明した。
続いてプロダクトアワード部門のプレゼンターの慶応義塾大学 中村 修氏が「性能を追求してプロダクトが大型化する一方で、皆が家庭で使うような小型のプロダクトまでがInteropに参加するようになり、このアワードで取り上げる製品の価格も何億円から何万円まで、幅が広がっています。このため、それぞれの製品が対象となるユーザの要求に応えられているか、また製品に対する思いや主張も組み入れて選考しました」と述べた。
ソリューション部門についてはプレゼンターのアイティメディア @IT 情報マネジメント編集部 三木 泉氏が「一生懸命、ユーザのことを考えたソリューションが出てきたと思います。使われている製品が新しくなくても、ソリューションとして新しく、良いものが備わっていることが重要です。今回受賞した方はもちろん、まだエントリーしていない方も、来年はぜひ新しいソリューションで挑戦してほしいと思います」と語った。
次はベンチャー部門だ。 プレゼンターのアントレピア 下和田 豊氏は「今回はおしくも受賞できなかった製品も、あともう一歩というところまで来ていたものばかりです。技術・製品に磨きをかけて、ぜひ来年もエントリーしてください」と述べた。
Best of ShowNetの両部門について奈良先端科学技術大学院大学 山口 英氏は「プロダクト部門については、今回ShowNetを構築するうえでキーになった製品を選出しています。デモンストレーション部門についてはShowNetの特徴をつかみ、より効果的なものにチャレンジしてもらいたい」とエールを送った。

基調講演レポート2「光ブロードバンドの発展とNGNへの取り組み」

展示会2日目の基調講演は、「NGN」と「The Internet」の立場にいる2人の講演者がそれぞれの思いをぶつけあう「対決色」を持った1日となった。


NTTが進めるNGNへの取り組みについて語る、日本電信電話 代表取締役副社長 山田 隆持氏

最初に壇上に登ったのは日本電信電話 代表取締役副社長 山田 隆持氏だ。「光ブロードバンドの発展とNGNへの取り組み」と題した講演で、まず日本のインターネット環境について、ブロードバンドや携帯電話など、各種サービスに対する全体的な加入状況を解説した。それによるとFTTHが急激な伸びを見せており、NTT東日本では2006年12月に、西日本では2007年3月に、それぞれADSLとFTTHの加入者数が逆転しているという。この勢いで増加した場合、NTTグループだけでも来年には1000万件を越える加入者数となる。

しかし一方で、光ブロードバンド接続の料金は世界の国々と比べて日本は安価だが、下げ止まり感がでてきているという。また、単に安価な高速インターネット接続を利用したいというだけでなく、セキュリティをはじめとした品質面にユーザの意識が移ってきていると山田氏は分析する。
またブロードバンド社会の諸問題として急増するトラフィック/ネットセキュリティとサイバーテロ/悪用防止/地震などの大規模災害の4つをあげ、それぞれにどのように対象していくかが問題になると指摘する。

現状を再確認した上で、山田氏はNTTとしてのNGNへの取り組みを紹介した。目標として、ネットワーク側からのセキュリティ、社会・経済的な問題解決への貢献、介護・医療・予防医療、の3つを掲げているという。さらに、フルIP化される次世代のネットワークは、既存の電話と同等の高品質/高信頼性を確保するため、いくつもの課題を越える必要があると述べた。
最後に山田氏は、NGNの取り組みの中で開発された新しい技術と、その中から実際にInterop Tokyo 2007の会場内で見られるものを紹介し、今後も社会に対して貢献していきたいと締めくくった。

基調講演レポートその4「通信統合の神話に迫る」

続いての基調講演を行ったのは、ジェフ・ヒューストン氏だ。APNICのチーフ・サイエンティストであり、IETFにおいて3つのワーキンググループの議長を務めるヒューストン氏は、まず「昔は300bpsでイライラしながら通信していたが、今はギガビットのイーサネットが一般的になった。しかしIPネットワークとしてみれば、パケットをやり取りする部分は同じで、伝送に使うものが異なっているにすぎない。ノルウェーでIPを伝書鳩に託し、IP通信が行えることを実証する実験も行った」と、インターネット通信の基本であるIPについてこれまでの歴史を交えながら語った。


コンバージェンスに向かう通信業界の動きに対して自身の考えを真っ向からぶつけるジェフ・ヒューストン氏

そのうえで「今大企業は、様々なサービスに対して1本ずつ回線を用意している。製品群に対して多数の回線が必要であり、さらにそれらを制御するためのネットワークすら必要となっている。最終的に1つの企業で100本の別々の回線を用意していることも珍しくはない」と現在のネットワークの在り方について述べ、「しかしこれは正しい状態とは言えない。どのネットワークがオン/オフになっているか分らない状況よりも、1つにして管理しやすくするという考え方は、理論上正しいといえる。そして、これをコンバージェンスと呼んでいるのが現状だ」と続けた。

ここでヒューストン氏は話を変え、「もし自分がNTTの1日社長になったら、コンバージェンスのユートピアを夢見るでしょう」と切り出した。「ユートピアでは、コンバージェンスによって、単一のネットワークを低いコストで運用できるようになる。ネットワークを流れるP2Pのパケットを敢えてぞんざいに扱い、高い品質の部分はお金をはらってくれたひとに与える。効率的な運用が可能なので、管理者も少なくなり、純粋に利益があがっていく」と、まさにコンバージョンを進めている人々が思い描く、バラ色の空想を語った。
「しかし考えてみてください。誰かに電話をかけるということは、その話すことにこそ価値があり、料金を支払うのです。決して、通話したことにお金を支払おうとしているわけではありません。いいかえてみれば、顧客はソリューションにこそお金を払っており、パケットにお金を払いたいと考えているわけではないのです」と、語気を強めた。

ヒューストン氏はこれまで通信業者が行ってきたATMやMPLSといった取り組みを例に「新しいテクノロジによってコンバージェンスは実現できると言われてきたが、どれも実現していない。それどころか、規制緩和によって別の競争相手が出現し、苦しい状況に置かれている。多くのネットワークが発生し、コストがかさむ。そこでは様々な冗長性が発生し、コストが高くなる。そのコストは結局消費者が負担するのだ。つまり規制緩和は消費者のコストを高める行為といえるだろう」とこれまでを振り返って分析する。
ではより良いネットワークを構築することは無駄なのだろうか。ヒューストン氏は「インターネットはパケットがドロップしないよう、電送される仕組みを持っている。しかし今は『いまはドロップしても送りなおせばいい』という考え方をもったユーザが増えている。さらにより少ない技術しか使われていなくても、コストで満足できるというケースも多い」と述べ、「通信環境をその手に握り、サービスを提供し続けることで収益をあげていた1980年代の通信業界の考え方から、今こそ変わらなくてはいけない。すべてが管理された新しいネットワークと、今まで通りのインターネットがあったとして、もし同じサービスが受けられるなら、ユーザはより安く、自由度の高いものを選択するだろう」と強調した。

Ventureパビリオン&Ubiquitous Networkingパビリオン「次世代のメインストリームを目指せ」

さてInterop Tokyo 2007の会場に目を向けてみよう。先に紹介したBEST OF SHOW AWARD 2007のベンチャー部門にノミネートされた製品群が並ぶのが、このVentureパビリオンだ。日本のITの現場が進んでいくためには、既存の企業の力ももちろんだが、新しいソリューションや製品の登場も欠かせないポイントだ。Ventureパビリオンには、次世代の標準やメインストリームを目指す製品やソリューションがひしめき合っている。知名度という点ではまだまだだが、新しい着想を基にした製品は来場者の興味を十分に引き付けるものがある。


各社のデモンストレーションが行われているVentureパビリオン。

新しい潮流という面では、Ubiquitous Networkingパビリオンも負けてはいない。「ユビキタス」という言葉は一般にも知られるようになったが、毎年何らかの新しいソリューションが生まれ、このパビリオンで披露されている。Ventureパビリオンが製品ベースでの展示なことに対して、Ubiquitous Networkingパビリオンは「これから」を期待されるような実験段階のものが中心となり、まさにアイデアのほとばしりが見られる場所だ。


今まさに実験段階なものが多くみられ、成果発表の場となっているUbiquitous Networkingパビリオン。

デジタル放送サービスインターネット・モバイルサービス最前線

Interop Tokyo 2007の併設イベントIMCでも、様々な新時代を予感させるデモンストレーションがみられる。しかも一般的にはあまりなじみがなくても、すでにデジタル化の波が押し寄せている放送業界では、今まさに使われはじめている最新のソリューションが目白押しなのだ。

その中でも、地上波の放送局が行っている取り組みが見られるのが「インターネット・モバイルサービス最前線」だ。ワンセグとデータ放送の次世代連携や、無圧縮HDのリアルタイム送受信、新たなコンテンツの可能性など、各社の取り組みの成果をここで見ることができる。


キー局や地方局がそれぞれ取り組んでいる最新ソリューションを集めた「デジタル放送サービス/インターネット・モバイルサービス最前線」

ShowNetを体験しようパート2ShowNetスペシャルセッション&All About ShowNet

展示会1日目のレポートでは、ShowNetウォーキングツアーについてお伝えした。実際にツアーに参加した人であれば、ShowNetがISPをモデルにしたネットワーク構成をとり、IPv6によるオペレーションを行っているといった知識を得たことだろう。そして「なぜ、そうしているのか」という疑問がわくはずだ。その疑問に答えてくれるのがコンファレンスプログラム「ShowNetスペシャルセッション」だ。展示会2日目に、3部に分けて行われたこのセッションは、昨年のInterop Tokyo 2006からはじまった、ShowNetと来場者を結ぶ新たな取り組みの1つだ。昨年は丸1日かけてShowNetをひも解いていくものだったが、今年はテーマごとに分け、個々の課題から今年のShowNetを通して、インターネットの今を学ぶことができる。

ShowNetスペシャルセッションに参加する来場者。Part1から3まであるセッションは、NOCチームの中核メンバーがそれぞれの担当箇所について語ってくれる。

たとえば「なぜIPv6なのか」という点に関しては、これまで言われてきた「IPv4アドレス」の枯渇問題が、いよいよ本格化してきたことが影響しているからだ。現状の予測では、2010年にはIPv4アドレスの割り当ては停止され、IPv6でのオペレーションが必須となっていく。またWindows VistaやMac OS XなどのIPv6に標準対応したOSの存在も切り離すことはできないという。あまり一般的に知られていない内容も多いせいか、参加者は質問するよりも「今自分が置かれている環境」をしっかりと受け止めることに力を注いているようにも見えた。

疑問が「ShowNetの構成および使われている機器」に向いた人に好評なのが、今年からはじまった「All About ShowNet」だ。ShowNetの各所に設置されたPODでは、ラックの中まで見ることができる。しかしそれがどういうもので、なぜそこに配置されたのかという情報は得ることができない。All About ShowNetでは実物大のパネルにNOCチームが各々の担当箇所に書き込みを入れることで、新しいデモンストレーションとして完成させた。中には本当のラクガキも見られるが、そこに書かれた情報はNOCチームの「生の声」だ。何がShowNet構築のキーとなったのかや、どのプロダクトによって機能が実現できているかなど、楽しみながら知識を得ることができる。

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