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NOCチームインタビュー

Interop STM/CTM 2010

InteropのShowNetは、各種団体や企業から集まったNOCメンバーとともに、公募によって集まったボランティアであるSTM(Shownet Team Member)によって、構築や運用が行われています。

今年のSTMに関して、(株)アレフネット 伊藤孝一氏、ネットワンシステムズ(株)中原武志氏、アラクサラネットワークス(株)小林大氏、(株)ライブドア 奥澤智子氏にお話を伺いました。

Q: STMの目指すものを教えて下さい

伊藤氏:
InteropのShowNetは、Interop期間中だけのネットワークです。
ネットワークの構築が毎回ゼロから行われ、それが運用されます。
このようにゼロから大規模なネットワークを立ち上げるという経験は、なかなかできませんが、ShowNetでは、それを行うメンバーを公募することで次世代のネットワークエンジニアを育成するという目的もあります。 ネットワーク技術者もある種職人的な部分があるので、技術の伝達が一子相伝的なところがあるんですよね。
STMプログラムは、従来企業内などで閉じていた一子相伝のネットワーク技術の伝達を、組織を跨いだものとしています。 STMには、国内のネットワークエンジニアを育成するだけではなく、次のShowNet NOCメンバーを育成するという目的もあります。
ShowNetを設計したり構築したりするNOCメンバーも、様々な組織からの集合なので、NOCメンバーの入れ替えや若返りなどの新陳代謝も重要です。
本日のインタビューも元STMメンバが含まれています(補足:インタビューを行っている側も元STMです)。  

Q: 今年の新しい試みを教えて下さい

小林氏:
STMは、非常に大きな経験になるため、毎年多くの参加希望者が申し込みをされます。
とはいえ、STMやNOCとしてInteropに参加するには、非常に長い期間を連続して参加することが求められるという、スケジュールの問題があります。 業務の都合上、それだけ長い期間をInteropだけのために割くことが出来ないという方々が過去に多くいました。
コントリビュータの立場からSTMのように参加しつつも、STMの縮小版のようなものを作れないか、という問題意識は前からありました。
今回は、そのような問題意識から、新しくCTM(Contributor Team Member)という仕組みを運用します。 CTMは、STMのような公募ではなく、コントリビュータさんから来て頂くという形になります。
STMのように全日コミットではなく、作業の進捗目安を提示させて頂いて、それを参考に何名、何日というのを決めて行きたいと思います。  
伊藤氏:
このCTMは、コントリビュータさんに、コントリビューションの枠から出た形でも、ShowNetに絡んで頂きたいというものです。
いわゆるコントリビューションではないのですが、コントリビュータさんから、今までとは違った形態の経験をして頂くという形です。 事務局視点から見たSTMとの大きな違いとしては、宿泊費や食費などが事務局から支給されないという点も挙げられます。
コントリビュータさんの業務の一部として来て頂き、ShowNet側としては仕事場を用意するという形ですね。
奥澤氏:
STMと現場を共有して頂くことも大事だと思っています。
昨年まで私もSTMとして参加したのですが、STMをやったときに感じたのが、コントリビュータ待機部屋とSTM待機部屋の「距離」です。
お互い、交流する機会もありませんし、非常に大きな壁を感じます。
CTMという仕組みによって、コントリビュータさんにもShowNetを良く理解して頂きつつ、STM側もコントリビュータさんとの枠を超えて色々なものを共有して頂きたいと思います。
伊藤氏:
今年は初めてということもあり、CTMへ参加されるコントリビュータさんは、昔から、ShowNetに関わっておられた企業さんが中心になると思うのですが、たとえばサーバアプライアンス屋さんなどは、お一人でずっと孤独に設定作業や待機をされているような状況があったのですが、そういった方々が、空いている時間をSTM作業に参加されることで、コミュニティ参加のキッカケとなるような仕組みを将来的に作れたら嬉しいと思います。
小林氏:
今回は、枠というか、募集要項を緩和しまして、一人でコントリビュータとして参加するけどトラブルが発生しない限りはCTM枠として作業に参加できるという形も追加しました。
それによって、要項が以前よりも大分柔らかくなったと思います。  

Q: CTMの導入によって、たとえば学生と社会人の交流が増えることも目指していますか?

小林氏:
はい。それも考えてます。
私達がCTMを作りたいと思った背景として、コントリビュータの立場で参加して続けているNOCの経験として、交流の大事さを感じているという点が挙げられます。  

Q: コントリビュータとの結びつきで学生の就職活動が有利になったりしますか?

奥澤氏:
大学4年生に限定して見ると、どちからというと、時期としては既に就職が決まった学生がSTMとして参加していることが多いかも知れないので、直接的に就職活動に直結とは言えないのかも知れませんね。
伊藤氏:
ただし、業界内での人脈作りという側面はあるのかも知れません。
就職ではなく転職というのであれば無くはないと思われます。  

Q: 今年のSTM運用の課題を教えて下さい

伊藤氏:
今年の課題ですが、運用上、特に明確にしたいのは、自分の意思で作業をして欲しいというのがあります。
機器のコンフィグにはスキルが要求されますが、あまり慣れていない人がこれをやろうとするとき、スキルを補う「やる気」がないと出来ない作業です。 Interopを運用するうえで、人数的にSTMが必要な作業が沢山ありますが、
今年は、できるだけ個人の自発性を尊重したいので、STMさんがやりたいと言ったときのみに仕事をアサインする形にしたいと思います。 個人の自発性を尊重したいというのは、ここ数年のSTMの傾向が背景としてあります。
たとえば、昔は設定内容を記述したシートがNOCから渡された後に、それを実際のルータコンフィグに変更して自動的に流し込むためのスクリプトをSTM同士で競い合いながら作っていたのですが、最近は、それがなくなってきています。
初めて参加された方々が、勝手がわからないという部分もあると思うのですが、誰か一人が書いて、その他の人々がそのスクリプトに群がるという傾向があります。 そうなると、理解しないままになってしまいます。
昔からその傾向がなかったわけではありませんが、最近、その傾向が特に目につくようになってきました。
今年は、出来るだけ自分で手を挙げて、「このパラメータでやってやるぜ」的な、自分でやる人を掘り起こしたいと思います。

Q: どうやって掘り起こすのですか?

中原氏:
今年は、個人の興味をひろっていきましょう、という風にSTMの運用を変えて行きます。
そこで、そこを伸ばすためのお手伝いは、いくらでもやりましょうと。
そういった姿勢に、そういう意味では、今年は変えようとしてますね。
これまでは、仕事があるから割り振っていきましたと、そこで学ぶことがあれば、それぞれよろしくお願いしますという感じになっていたものを、
今年は、個人が望めば、好きなだけ頑張れますという形にしようとしています。 STMは面接を経て参加をお願いする方々を決めていますが、今年は面接も、そういった視点を持って行いました。
ただ、3人でグループ面接をしなければならないのですが、そこで「この人が現場でやる気をだしてくれるかなぁ」というのをどうやって感じ取るかが難しさとしてはあると思います。
小林氏:
そういった意味で変わって来ているのが、以前はNOCの指示でSTMが設定を行って、その後も、ずっとNOC主導になっていたのが、それぞれ担当を持った機器であれば、より強くコントリビュータと結びつきを持ったり、自分のわからないところをどのようにわからいかと伝えて、その内容をキッチリ設定に反映させていくというのを、NOCを含めて意識を持ってますし、コントリビュータ側もその意識を強く持って、STMの人達に自分達の機器に慣れてもらうというのと、NOCも自分達で、あーだコーダではなくて、直接コントリビュータとSTMがやりとりして、いわゆる運用の負荷といいますか、それを減らすという方向にはだいぶなってますね。  

Q: STMの行う作業が増えるということですか?色々と経験できる枠が増えそうですね。

中原氏:
STMの作業としては増えてますね。
それと同時に、仮想化を理解しながら同時に作業をしなければならなくなりました。
仮想化が入るようになってから、物理的な構成だけではなく、仮想的なネットワーク構成まで考慮する必要が出たのが大きいですね。
昔よりも、事前に学習しなければいけない量が増えましたね。
結果的に昔よりも要求されるレベルが上昇してしまっているのかも知れません。
知らないと、本人が現場に行ってから、自分が満足して帰れないことに気がついてしまうのが難しいところですね。
奥澤氏:
たしかに昔より少し元気が減った気がするのですが、詳しいSTMが増えたかも知れませんね。
知ってる子は凄く知っているように見えます。
一方で、STMの個人的な知識に大きな差が出始めたとも思います。
知ってる子と、知らない子の差が激しいですね。
小林氏:
でも、今年も元気があるSTMは居そうですよ。
今年は、ノートPCを持ってないので家にあるデスクトップを持参するというSTMも居ますしね。
面接官が「デスクトップでもOK」と言ったら「じゃあ、持って行きます!」となりました。
元気がある人が居るのはいいですよね。  

Q: ありがとうございました。今年のShowNetの構築と運用、頑張って下さい!

ありがとうございました。:今年のShowNetの構築と安定した運用を目指してがんばります!

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