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ShowNetを語る

クラウドがデータセンターに求めることは「限界を超えること」?

NOC 関谷さん:
今までのデータセンターは、ネットワーク機器がありサーバがあり、コロケーションでカスタマーが機器を持参してきて使うというモデルでした。
しかし、だんだんと顧客が機器を持ち込むのではなく、想定された機器によるサービスを切り売りするようなものもあれば、単一の事業者が自らデータセンターを独自に建ててしまうというのもあります。
このように、データセンターのありかたが変わってきています。
そこに付随するネットワークに対する要求も同時に変わってきています。
まず最初に、手短にみなさまがどういった形でデータセンターに関わられているのかや、「クラウド」という言葉が流行ってからお客様からどのような要望が出るようになったかなどをお願いします。
シュナイダーエレクトリックさん:
弊社は基盤となる層を扱っています。
クラウド環境でデータセンターでは、より上位であるIPやアプリケーションの稼働部分を含めて連携性が求められます。
そういった観点から、各ITベンダーさんとアライアンスを持ったり、WebサービスのAPIなどをオープンに公開した製品を提供したりしています。
それにより、仮想化環境の提供やパワーキャッピングを連動させるようなソリューションを今後行っていこうと考えています。
富士通さん:
実際にサービス事業に関わっているわけではありませんが、VLANの数が足りないという話を良くききます。
同時にIPv4アドレスの枯渇が鍵になるのではないかと考えています。
そこで役に立つ技術としてSA64Tを提案しています。
NTTコミュニケーションズさん:
弊社はデータセンタの運営もしていますが、私自身はパブリッククラウドの設計を担当しています。
弊社は自社ビルでクラウドを提供していますが、大きなポイントは電力と重量ですね。
そこのところが厳しいです。
シスコシステムズさん:
シスコは2009年からCisco UCS (Unified Computing System)というブレードサーバの提供を始めました。
UCSが他社と違うのは、サーバの管理マネージャーをネットワーク機器であるスイッチ上に設けて、スイッチ配下にあるブレードサーバを一元管理できる点です。
その辺りが仮想化に最適なシステムといわれる理由で、スケールアウトが柔軟にできるようになります。
あとは、UCSを使ったプライベートクラウド型のサービスを提供するにあたり、エコパートナリングにも力を入れています。
具体的には、EMCとVMwareとはvBlock、NetAppとVMwareとはFlexPodというパッケージングソリューションを提供しています。
また、毛色は変わるのですが、WebExというSaaS型のWeb会議システムも提供しておりまして、エンタープライズのお客様に幅広くご利用頂いています。
他にも、弊社のパートナー企業と提携したクラウドサービスがあります。HCS (Hosted Collabolation Service)といいまして、NTTコミュニケーションズ様とエンタープライズのお客様を中心にクラウド型のIP電話によるコミュニケーションサービスを提供してます。最近では、IIJ様とビデオ会議システムのマネージドサービスの提供も開始しています。
最後に、クラウドや仮想化を意識したネットワーク技術として、データセンター間をL2で繋ぐOTVや、データセンタ内のL2を柔軟に拡張するFabricPathなどを提供しています。
ブロケード コミュニケーションズ システムズさん:
お客様からの声として、管理の面ではVLANの管理をどうすれば良いかが課題というのがあげられます。
仮想マシンがサーバの間を動き回るので、全部のポートにVLANを設定するんですか?という状態で、そこら辺の運用を自動化できないのかというコメントをお客様から頂いています。
あとは、ハイパーバイザーとの親和性を持って欲しいという意見もあります。
フラットなL2を伸ばしてくれというのがプラットフォーム会社の方々からはあるのですが、どこかに限界はあります。
無限に伸ばせるわけではないので、そこら辺の見極めをどうするかですかね。
あとは、ビッグデータであるとかリアルタイム処理を要求してくるアプリケーションがありますので、低遅延処理が必要になります。ファブリック全体の一元管理も必要です。
最後に、インフラとしてはコンバージドネットワークを作りたいというご要望もあります。CloudPlexに関わるサーバ・ストレージベンダさん達とアライアンスを組んでストレージデータを一緒に流すためのソリューションを提供しています。

アイエスエイさん:
うちは「警子ちゃん」という、ネットワークを自律的に監視して異常が発生するとランプをつけて警告したり、メールを送ったり、上位のアプリケーションに通達するというベタベタの商品を20年間扱っています。
警子ちゃんのお客様としてクラウドを実現しているデータセンター事業者様も含まれているため、データセンター事業における今後の課題という話題が話のなかで登場することがあります。
現時点で、次のような各話題に対応する製品があるわけではないのですが、たとえば、クラウド型データセンターを運用する際のライセンスコストがとてつもなく上がって行くという話があります。
また、各電力会社さんからの要請時にどこまで電力消費を削減できるかという話もあります。
非常時の電源シャットダウンや、いかに早く回復できるかも課題としてあります。
IPv4アドレスが足りなくて監視系を増やせないという状況も見え始めています。
こういった動きがデータセンター系でモゾモゾモゾっと始まっているように思えます。
NOC 奥澤さん:
加重がキツいという話がありましたが、そこら辺をシュナイダーさんとかご意見ありますか?
シュナイダーエレクトリックさん:
クラウドに限定しませんが、加重の軽いラックにも取り組んでいます。
耐震も含めて加重に取り組むのですが、あらかじめ搭載機器がどれだけの重さがあるのかをジャストでわかる管理インターフェースを提供して、ラック加重およびフロア加重をお客様に提供させて頂くということは行っています。
NTTコミュニケーションズさん:
ラックメーカーさんに積載重量を見直していただきましたし、ビル・フロアの選択も配慮しています。我々としては機器メーカーさんにも軽量化を工夫して頂けないかなと(笑。
NOC 関谷さん:
今、皆様のお話を伺っていて思ったのですが、クラウド時代に求められる技術というのは、すべからく限界を超えるというのがキーワードなんじゃないですかね。
重さ、VLAN、IPv4アドレスなど限界を超えて何かをしなければならなくなっちゃってます。
限界を超えるということがユーザから求められている気がします。
シュナイダーエレクトリックさん:
お客様のご要望が従来の限界を越えていて、鉄板の溶接設計からはじまって運搬を含めて全て考えてやっと実現できるという場合もあります。
NTTコミュニケーションズさん:
我々はIaaSを提供していますが、クラウドってどうしてもAmazonさんに機能・価格で引っ張られるんですよね。
Amazonさんはいろんな面で限界を越えてらっしゃるので。
VLANの話は弊社も苦労するところです。
AmazonさんのようにグローバルIPv4アドレスを割り当てちゃう方法もあれば、OpenFlowなどの新しい技術を導入してより柔軟にVPNを含めてやっていこうという方向性もあります。
弊社内でも、どうやって使い分けて行くかという議論はあります。
NOC 宇多さん:
運用に関しての話ですが、省力化していくかという部分も大きいです。
アメリカのデータセンターはウン万台という台数を二人ぐらいで管理しているという話もありますし。
ただ、アメリカと日本ではユーザの傾向も違うという話もあります。
日本ではユーザがかなり慎重です。
NOC 関谷さん:
今年と来年ぐらいは変革期かも知れません。
事業者は既存の運用から頭をアップデートしなければいけませんし、ユーザもクラウドの使い方を工夫する必要があります。
何となく、みんな変革していかなければいけない時期に来ているのかも知れませんね。

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