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ShowNetを語る

EtherOAMがイマイチ盛り上がらないのは何故?

NOC 関谷さん:
ここ数年ShowNetでは、EtherOAMをかなり重要なテクノロジとして相互接続および実運用に活かすということでチャレンジしてきました。
そろそろ成熟してきた技術であるEtherOAMですが、どのような方向へと発展を遂げて行くのか、お話できればと思いますが、まず最初にこれまでの取り組みと今年のチャレンジをお願いします。
NOC 齋藤さん:
ShowNetでは、2009年からEtherOAMに取り組んでいます。当時は11社19台で、単純に繋がるか繋がらないかという相互接続検証を行いました。その次が2010年は、y.1731 ITU-Tの範囲を含めた形で相互接続の第二弾を行いました。
この年は、少し台数が増えてきて12社45台でした。その中で、y.1731は8社13台でした。相互接続検証は、その2年で各社さんにフィードバックを行ってきました。昨年は、相互接続も行ったのですが、実運用での利用にチャレンジしました。
昨年は、802.1agが12社57台、y.1731が8社30台でした。どういう使い方をしたかというと、ShowNetが構築されていくうえで、Layer2の構築の様子が見える「見える化」のチャレンジをしました。
「見える化」のツールはSIIさんと富士通九州さんの2社に出して頂きました。徐々にネットワークが出来上がるにつれ、ネットワークの疎通も見える化されているというのを目指しました。ただ、バックボーンの構築と同時にEtherOAMの設定を行っていき、見える化していくという試みは少しうまく噛み合なかった部分があったというのが正直なところでした。最終的には見えるところまで行ったのですが、構築フェーズで上手にEtherOAMを活用できていたかというと、そこまではいけてなかった気がしています。
NOC 長谷川さん:
実は、EtherOAMは普及しておらずフィールドではあまり使われていないのではないかと思うことがありますし、ShowNetでの使い方があまり正しくないのかも知れないと考えてしまうこともあります。
NOC 金井さん:
IXという視点では、お客様にL3での接続性を提供するという業態のため、EtherOAMで実現できることと多少マッチしていない部分もあります。
しかし、全く需要がないわけではなく、IXというのはLayer2のネットワークを提供しているので、自社内ネットワークにおいて障害検知を即座に行うために使えるとは思います。
ただ、EtherOAMは物理ではなく論理までしか見られないという成約があり、そこが多少使い辛い部分でもあります。
たとえば、LAG(Ling Aggregation)が使われていると、EtherOAMではどこで障害が発生しているのか明確にはわからず、それが導入に対する大きな障壁になっています。
ブロケード コミュニケーションズ システムズさん:
弊社機器にEtherOAM機能が入っていますが、EtherOAMに関してお客様から上がって来るフィードバックのボリュームを見ていても、あまり使われてないのではないかという感じはします。
マーケット全体が見えているわけではなく、あくまで弊社での状況なので全体像としてはわかりませんが、そういう感想はあります。
NECさん:
弊社が関わっている案件で、たとえば、EtherOAMのCCのheart-beatメッセージを使うなどの活用はしているのですが、仕様書レベルでEtherOAMを利用するという縛りがあるものは、あまり多くありません。
EtherOAMを使うというよりも、何らかの形でOAMを使うというのが多いです。

NOC 重近さん:
技術としてはOpenFlowよりもシンプルなんですが、OpenFlowの方がアマチュアが取り組む事が多いというのは不思議だと思います。
NOC 金井さん:
アマチュアだからこそ、EtherOAMよりもOpenFlowに興味を持つんじゃないですかね。
L2でのリクアイアメントよりも、L3でのリクアイアメントというのが直感的にはわかりやすい気がします。
たとえば全国規模でL1やL2のネットワークを商用で運用しているなど、ネットワークの規模が大きく障害の切り分けが重要な環境では、即座に障害発生箇所がわかるEtherOAMのメリットがあるのですが、弊社のように東京と大阪だけというL2レベルで非常にシンプルなネットワーク構成であればEtherOAMのような仕組みが必須という状況にはなりません。
NOC 関谷さん:
ユーザはEtherOAMという単語は知っていても、ユースケースがわからないので普及していないという考え方はどうでしょう?
エスアイアイ ネットワーク システムズさん:
そこは確かにありそうですね。
プロトコル自身が多少難しい部分があります。我々もEtherOAMの機器を販売していますが、お客様にまず最初に「EtherOAMってこういうものですよ」という説明から入らざるを得ないです。
ご理解頂けると結構うまく使って頂いているケースはあるのですが、そこのハードルが高いというのが数年やってきた感想です。
ユーザがEtherOAMを使いやすい環境を整備するという課題もあります。
現状ではSNMPマネージャにトラップを出して故障通知というところまでは出来ているのですが、それ以上となると、まだこれからという感じです。
故障を検知して何かができるかというと、そこまではできておらず、現状ではアラートを上げるだけに留まっています。
GUIなどによってわかりやすさも今後は必要になると思います。
使いやすいツールがあればEtherOAMの利用が加速するのかしないのかという部分もあります。
アレフネットさん:
弊社はCPEで実装しているのですが、先に要求がありきで作っているので、なかなかEtherOAMを使いやすいツールまで出来ているかというとそこまではいけてないです。
NOC 宇多さん:
EtherOAMの用途としては、トラブルシューティングか常時監視だと思うのですが、常時監視という意味では、L2の大きなネットワークを持っている人は欲しがります。
ただ、それは多少ユーザが限られてしまうので、表には出てき辛いと思います。
アクセス網のサービスとしては凄い必要な技術な筈で、CPEとの通信ができるかどうかを独自プロトコルで行っていたのがEtherOAMになると相互接続性が取れるようになります。
ということで、表に出辛いという側面はあると思います。
トラブルシューティングという視点では、ツールがあまり出回ってないというのが大きいと思います。
NOC 関谷さん:
はい。そう思います。 実は私はEtherOAMユーザです。
たとえば、複数の建物に同じL2セグメントを出して欲しいという要望が沢山あって、いまどきの大学の学内ネットワークはL2の塊なんですよ。
調子が悪いと言われた時に、一切L3的な方法で確認できないので、東大としては積極的にEtherOAMを採用する方向で動いています。
そこで実際に導入しはじめているのですが、そこで障害となったのはツールです。
今はコマンドラインでやるしかないのですが、「これってWebで監視できないんですか?」とか言われてしまったので、結局私がWebで監視できる仕組みを実装しました。
もうひとつの問題が対応機器です。
末端までVLANが正しく伸びているのかを確認するには、末端のエッジスイッチがEtherOAMに対応しているのが良いのですが、学内の末端スイッチは安物なのでEtherOAMに対応していません。
ただ、実はそこがクリアできるのであれば、いますぐにでも学内全てに採用できます。
NOC 宇多さん:
EtherOAMに対する期待は凄く高いんですよ。
「じゃあ何が足りないのか?」というのを模索するというのもShowNetの醍醐味だと思うんです。
我々が、これまでああいった使い方までしかできていなかったのは何が足りないのかを考えつつ、「使いやすい何か」を今年は発見できると嬉しいな!という気がします。

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