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ShowNetを語る

話題先行のOpenFlow、現状の制約と未来の可能性をShowNetで

昨今、色々と話題になっているOpenFlowやSDN(Software Defined Network)。日本での盛り上がりが海外と比べて先行すると同時に、製品提供者とユーザ側での温度差があるという声もあります。
OpenFlowは今後どのようになっていくのか?
相互接続性を保った標準技術になるのか、もしくはベンダー同時拡張によってプロプラエタリになっていくのか、今後の可能性と実際の適用範囲、本当に使えるのはどの部分なのかなどを知る手がかりをShowNetで!

NOC 佃さん:
まずは、各社さんのOpenFlowへの想いをお願いします。
適応領域や、どういったことに使えるのかなども教えて下さい。
ブロケード コミュニケーションズ システムズさん:
2010年からOpenFlowにコミットしていますが、現状ではNetIronというキャリア向けプロダクトで拡張ライセンス等が必要ない形で取り込む予定です。
我々としてはスイッチ側に注力し、コントローラは他のどのベンダーさんのものと繋がるように実装しています。
現状、多くの皆様が1.0ベースで実装をしていると思いますが、商用へのサービスインという意味では、ベンダエクステンションを含めてもう少しコンセンサスが出来上がって行く必要があるのかなという感じています。
適応領域としては、我々としてはまずはデータセンター内のプロビジョニングであったりAPIとして使って行く予定です。
将来的にはWAN側のパスコントロールにもチャレンジしたいと考えています。
A10ネットワークスさん:
「え!?A10さん?」と言われてしまいそうですが、弊社もつい今月ONFに参加させて頂きまして、積極的にOpenFlowに取り組ませて頂こうとしています。
実際にはOpenFlowというよりもSDNという枠組みのなかで行っていく予定ですが、その中でもどのようなポジショニングを目指すのかなどを考えています。
いまのところは「年内に何かができればいいな」的なところなので、なかなかはっきりと申し上げるのは難しいのですが、弊社のロードバランサ技術のインテリジェンスをOpenFlowと組み合わせてどうやって連動させて行けるのかが課題としてあげられると思います。
ネットワークバリューコンポネンツさん:
弊社はメーカーではなく代理店なのですが、アリスタネットワークスという会社と提携をしています。
メーカー動向を今後、見守っていく形となります。
シスコシステムズさん:
先日、CiscoシステムズSP CTOのDavid Wardが日本で講演を行ったのですが、その中でCiscoがSDNを非常に強く支持していると発言していました。
これまでデータセンターの中でnetconfがあまり上手く使われてこなかったのですが、netconfで目指していたプロビジョニングを実現するための解としてSDNだ、と。
WANに関しては、NGNでSNIというのがありましたが、これもあまり使われておらず、それを置き換える形でSDNはアリだという意見もありました。
ジュニパーネットワークスさん:
ジュニパーネットワークスは昨年、正式版ではなくベータ版になりますが、SDKプログラムの枠組みの中で、SDNの一つの技術としてOpenFlowへの対応を発表させて頂きました。現時点では対応機種がルータのMXシリーズになります。 このため、データセンターのゲートウェイで、OpenFlowを既存技術のMPLS Pseudo Wire等と融合させていくのが最初の展開になります。
SDKプログラムは、EXスイッチシリーズでも今年中に対応予定で、データセンター内にも展開していく予定です。
NECさん:
NECは2006年にスタンフォード大学と共同研究をするというところからスタートし、昨年4月に、商用スイッチを世界初として発売させて頂きました。
先日行われたONS2012でも、10社の導入事例や約100台のスイッチがインストールベースで出荷しているということとともに、「SDNに取り組みます」と発表させて頂ました。
現在の製品の適応領域はデータセンターとなり、沢山のお客様にデモをさせて頂いて、ご検討頂いているのですが、OpenFlowができることとユースケースのアンマッチを感じています。
「面白いね」とは言って頂けるのですが、実際の導入は「もうちょっと評価してからね」という事例が多くあります。
ただ、お客様からの声として多いのが、ベンダーロックインされないクラウドプラットフォームやネットワークが欲しいというものです。
クラウドプラットフォームにはベンダー連合軍のようなものがあり、1社を選ぶと他の会社もくっついてきてしまいます。その他、CLIで一つ一つの機器を設定してまわるのが大変であるという話もあります。

NOC 佃さん:
OpenFlowの適用領域には、これまでも各社様でソリューションがあったと思いますが、そことの大きな違いとして何があるのかに関してのご意見はありますか?
ジュニパーネットワークスさん:
実際にラボでコントローラとテストしてみると、コントローラに関しては、オープンな環境で開発や情報共有が進んでいるのを感じます。
Ruby等の簡単なスクリプトで生成したフローエントリーでルータが制御可能な点、パケットはルータのIP/MACテーブルではなく、フローエントリーで転送される点に、個人的には一種のパラダイムシフトというか技術の新しさを感じました。
ただ、運用を考慮した場合、実際に使えるのかは全く別の話で、課題も多いため、即、実運用というと疑問は残ります。
シスコシステムズさん:
台北のIETFでもOpenFlowが話題になっていたのですが、そこでの議論で私が思ったのは、逆にパラダイムは変わって無いじゃないかということです。
何故かというと、OpenFlowで出て来るユースケースはプロビジョニングの話ばかりで、netconfで出来るはずだったことをやりたいと。
SDNを推進している側はより高度な機能の話をしているのですが、実はエンドユーザはまだそこまで求めてないのかも知れません。
NECさん:
今はまだユースケースにむけた課題が出しきれていないと感じています。
仮想ネットワークを作る点においても「それはVRFで出来るじゃないか」と言われれば、その通りという用途もあります。
ただ、問題は仮想ネットワークを大量に使うような場合にCLIで管理しきれるのかどうかです。
この点は実際にクラウドを作っているサーバチームなどと連携しながらOpenFlowで対処を行う運用の課題を一緒に見つけて行く必要があると思います。
ブロケード コミュニケーションズ システムズさん:
今、盛り上がっているのは、実際に使いたい人がいて、そういう人がONFに入ってきていて盛り上がっているからだと思います。
我々はスイッチに注力していますが、コントローラなどによって実現されるSDNのフレームワークはこれからで、日本が異様に盛り上がっているのは確かです。
製品自体は出始めてきているので、これから色々なフィードバックが出て来るなかで世の中の反応は変わって来るかなと思います。
NOC 佃さん:
今年のShowNetではどのようにOpenFlowが使われますか?
NOC 関谷さん:
色々な使い方はあるのですが、色々なことをしてしまうと色々なことが発生してしまうのも認識しておりますので。。。
やはり、現状をちゃんと伝えると同時に、これからの可能性を同時に伝えたいというのが本音です。
OpenFlowの主な用途は二つあって、大量管理をしたいというものと、高度な制御をしたいというものです。
日本で幻想を抱いている人達は、高度な制御をしたいという部分で幻想を抱いている部分が多くて、一方、USでは大量管理をしたいと考えている人が多い気がしていますが、皆様いかがですか?
NOC 佃さん:
ONSでのGoogleのケースも、まさしくそういうケースだと思います。
OpenFlowだと何でも出来るという観点が多いのですが、彼らはスコープを絞っています。スコープが狭まっているからこそ、そういう明確なソリューションが出るのかなと思います。
折角日本市場が中心で盛り上がっているOpenFlowという技術が廃れて行ってしまう可能性もあるので、そういう意味では、Interopで各社さんの実際の展示とスコープを示して頂くことで来場者の皆様のヒントになるような場を作れるといいかなと思います。
シスコシステムズさん:
運用性はカタログやベンダー単体のデモでは全く伝わりません。
ShowNetは、そういった運用性を示す場なので、SDN、今回はOpenFlowですが、それを使ってどう運用性が向上したのかを来場者の皆様に伝えられる形を期待しています。
ブロケード コミュニケーションズ システムズさん:
Interopに限らないのですが、OpenFlowやSDNのご紹介をさせて頂く時に、ユースケースの示しかたに気を使っています。
「見せたユースケースが、OpenFlowそのものだ」という理解をされてしまいますので、可能性を正しく伝えることを模索したいと考えています。是非Interopでご覧頂ければと思います。
ジュニパーネットワークスさん:
OpenFlowの可能性は感じつつも、特に運用面では、実装上の制約が色々あるのも事実です。
ただ、サーバ機器の仮想化について存知のお客様は多いのですが、ネットワーク機器の仮想化技術や意外と知られていないので、ネットワークの分野が注目されるのは良い事と考えています。お客様のネットワークの課題に対して、OpenFlowといった新しい技術を意識しつつも、既存の技術を活用し、問題解決を示せる良い機会になればと考えています。
NECさん:
今までのスイッチでVRFを沢山作ると運用が大変というのもありますので「できるけどやっちゃいけないこと」というものがあるのも事実です。
今の課題やその解決方法という点で最新の取り組みをしているInteropは、そういったユースケースと課題を発見するヒントとなる場だと思います。
NOC 関谷さん:
OpenFlowは新しい技術であり、我々も可能性を信じています。
運用コスト削減の方向性もあれば、運用性の話もあります。
ShowNetでも、ここ数年、仮想ネットワークを扱ってきて、複数スライスを作って行くことによる管理の難しさ、すなわち管理コストの高さを痛感しておりますので、そういったところを含めてOpenFlowの可能性をShowNetとしてはアピールしていきたいと思っています。
例年に続き、2012年のShowNetも新しいチャレンジをしていきますので、是非ご覧頂きたいと思います。

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