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ShowNetを語る

これからのデータセンターの本命?イーサネットファブリック

従来のイーサネットでは出来なかったマルチパスによるロードバランス、障害時の早い切り替え、拡張イーサネット規格であるData Center Bridgingを利用したロスレスイーサネットなどを実現した新L2網の仕組みである、イーサネットファブリック(以後、ファブリック)。
Brocade VCS Fabric、Cisco FabricPath、Juniper QFabricと、名称や詳細技術にバリエーションがありつつも、2010年中旬から後半に各社から製品が出始め、2011年はファブリックの普及開始とも言える年でした。
2011年の実績を経ていよいよ実環境で使われ始めたファブリックはInterop Tokyo 2012の要注目技術と言えます。

NOC 関谷さん:
去年の時点ではファブリックは、まだ登場したばかりで、一般に対するアピールをやっと開始し始めたような時期でした。
そういった状況もあり、昨年のShowNetデモでは「並べて見て頂くだけ」という状況でしたが、今年はデータセンター内に特化して、どのような形でファブリックネットワークが使われていて、どのような方向に進んで行くのかということを議論するための展示になればなと思っています。
NOC 宇多さん:
そうですね。
今年はファブリックを実際に使ってサービスの実運用が行えればなぁと思います。
たとえば、DNSサーバなど、ShowNetを運用するうえで重要なサービスもファブリック上で運用していきます。
運用といえば、ファブリックが市場投入されてから1年以上が経過したこともあり、市場での事例が気になるのですが、ベンダーの方々はどういった感触をつかんでいらっしゃいますか?
ブロケード コミュニケーションズ システムズさん:
既に国内でも100件を超すお客様に弊社VCS Fabricをご利用頂いていると同時に、業種を問わず多くの方に導入検討をして頂いております。そしてデータセンター向けだけでなく、VDI環境向けやビッグデータ環境向けにも既に国内実績があります。
そのためファブリック市場は「注目・検討フェーズ」から「本番稼動フェーズ」に入ったと感じています。
弊社VCS Fabric導入の国内における公開事例ですと、アイネットさん、さくらインターネットさん、大和総研さんがあります。
シスコシステムズさん:
弊社がファブリック技術としてNexus7000のFabricPathを最初にリリースしたのが2010年10月になります。現在ではNexus5500でもサポートされ、ワールドワイドで650社以上のお客様にご採用頂いております。個別の事例ですと、海外ではデータセンター間をレイヤ2で結ぶ技術として、FabricPathとダークファイバを組み合わせて導入した先進的なお客様もいらっしゃいます。日本ではデータセンター内のレイヤ2ネットワークをを柔軟に拡張したいということで某サービス産業系のお客様にご採用頂いたりしています。
一方、証券会社を中心とした金融機関ではHFT(High-Frequency Trading)が近年流行しており、ネットワーク機器の低遅延化が求められています。弊社ではこの分野に特化した製品としてNexus3000シリーズを昨年リリースし、金融機関を中心とした200社以上のお客様にご利用頂いております。
ジュニパーネットワークスさん:
去年から今年で導入をかけるもしくは導入を前提に検討をされているというお客様で多いのが、金融機関や、クラスタを使った計算処理能力を向上させる必要がある研究機関であったり調査機関であったり、ビッグデータを扱っているような組織の方々です。
お客様の興味という意味では、企業ユーザやプライベートクラウドをお考えで「ファブリックテクノロジーはどうだ?」というケースが多いのですが、そういったケースでは、どうやって運用コストを下げるのかであったり、既存のシステムのパフォーマンスを向上させるにはどうしたらよいのかという観点が多いように感じています。

NOC 関谷さん:
ファブリックになるとパフォーマンスが上がるというのが良くわからなかったのですが、ファブリックだとパフォーマンスは上がるのでしょうか?
ジュニパーネットワークスさん:
「ファブリックにするから」と一般論でのご説明は難しいのですが、弊社QFabricのシステム導入事例ですと、既存システムのボトルネックを改善することや、ホップカウントを減らしてレイテンシを削って行くことによってシステム全体のパフォーマンスを改善していくという事例が増えてきました。
ネットワークデザインだけではなく、プリント基板の設計レベルでも遅延を落とすようにしています。
背景として、データセンターの通信パターンが変化があげられます。
昔はサーバとクライアントの通信だったのでそういった環境にあわせたネットワークデザインが多かったのですが、最近はサーバとサーバ、マシーンとマシーン、サーバとストレージの間のトラフィックが増えてきました。
特に、仮想化環境にする場合には、サーバがどこの物理ネットワークに移ってもかまわないネットワークを作る事によって、サーバプールをより有効的に使えるようになって、パフォーマンスが上がるということがあります。
そういったストーリーで「ファブリックがパフォーマンスを向上させる」とお話を差し上げることが多いです。
シスコシステムズさん:
ファブリックによるパフォーマンス向上で、もう一点非常に重要なのが、従来のスパニングツリーのようなブロッキングポートが存在するようなネットワークではなく、ファブリックによってマルチパスを実現できるという点です。弊社のFabricPathはTrillの実装に則り、IS-ISベースのL2ルーティングを実現していますので最大16まで等コストの経路をロードバランスすることが可能です。
ブロケード コミュニケーションズ システムズさん:
低遅延やマルチパスに加えて、ネットワーク構成情報やパス選択といったネットワーク最適化が自動的に実現できるようになった効果もあると思います。
もう少し補足すると、この座談会ではイーサネット・ファブリックの話がメインとなっていますが、ファブリックには他にもInfiniBandやFibre Channelベースのファブリックもあり、これらを組み合わせてシステムを運用する事により、ストレージI/Oやバス転送技術といった部分も併せた全体最適化によるシステム全体のパフォーマンス向上を実現できています。
さらにはLAN/SANといったネットワーク環境だけの最適化だけでなく、ハイパーバイザーやアダプタとファブリックが連携する事による、システム全体の低遅延化やパフォーマンス向上を支援している側面もあります。
NOC 関谷さん:
次はShowNet NOCメンバーに質問ですが、ファブリックで将来できたらいいなと思う機能や、こういった使い方をしたいというご意見があればお願いします。
NOC 奥沢さん
これからデータセンターで構築するというと、やはりイーサネットファブリックを検討するのですが、ダイナミックにパスが切り替わってしまうので、今、どのパスにどれぐらい通っているからここを増強しなければ、というのが多少見えにくくなるような気はしています。
ブロケード コミュニケーションズ システムズさん:
パス選択については弊社の場合DPS(Dynamic Path Selection)技術により、End-to-Endでファブリック内はマルチパスに対して均等にトラフィックを流すことができます。この技術は1997年から弊社ファイバーチャネル・ファブリックにて実現している実績のある技術であり、VCSファブリックにこの技術を適用することでネットワークトラフィックの最適な制御を実現しています。
もっとも幾ら分散しても、全パスの帯域が埋まってしまったら終わりですが(笑。
使用率については弊社の場合Fabric Watch技術により、ファブリック内の各パスのトラフィック量がある値を超過したらアラートを出す事により監視・管理を実現しています。そのためパス帯域の増強などの管理が容易に可能です。
つまりファブリック技術における監視・管理でも、ブラックボックス化されずに可視化が可能となっています。
NOC 宇多さん:
IX的な視点も欲しいところです。
NOC 金井さん:
IXでは広帯域化が進んでおりまして、JPNAPではトータルトラフィックは300Gを超えています。
これまで私たちはお客様の接続インタフェースとして10Gを中心に提供していましたが、今後は100Gインタフェースを提供していきます。
従来のSTPをベースとした技術の一番の課題は宛先に対する経路が一本しか存在できないことです。
広帯域のお客様が接続されると、普段は使われていないブロックポートの回線に対しても大きな容量の増強をしなければなりません。マルチパスでの分散はこの課題を解決してくれると期待しています。
また、何らかの故障時には、網の収束時間を少しでも短くしたいので、新しい技術でこの時間の短縮できると非常に嬉しいですね。
NOC 宇多さん:
最後に、Interop Tokyo 2012でのファブリックの見所を教えて下さい。
ジュニパーネットワークスさん:
QFabricシステムの実際のユーザも出てきているので、QFabricが産み出すシンプルさやスケーラビリティに是非注目をして頂きたいなと考えています。
シスコシステムズさん:
CiscoとFabricPathによる柔軟なL2拡張、データセンター間でOTV(Overlay Transport Virtualization)を利用することによるデータセンター相互接続、Nexus7000シリーズで100GbEモジュールが手に入りそうなので、そちらも是非展示させて頂きたいと考えています。
最後に、仮想環境としてNexus1000VのWindows Server 8上での動作も実機でお見せしたいと考えています。
ブロケード コミュニケーションズ システムズさん:
Brocadeでは昨年から既に安定稼働の実績がある弊社ファブリック技術であるVCS Fabric Technologyと、スモールスタートから始めて要求に応じて柔軟かつシンプルにファブリック拡張が可能な製品であるBrocade VDXシリーズを、改めてご覧頂ければと思っております。
そしてサーバ仮想環境とファブリックの連携強化をはじめとした、昨年から追加された各種機能もご確認頂ければと考えております。

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