開催概要
実行委員長からのご挨拶
Interop Tokyoはインターネットの黎明期と呼ばれた1994年の初開催から数えて、いよいよ20回目の開催を迎えることになりました。
本イベントは、インターネットとデジタルメディアの専門イベントとして、Interop の名前の由来通り「Interoperability (相互運用性)」をテーマに、最先端の機器、技術、サービスが一堂に集まり、その具体的なビジョンと出会えるイベントとして開催されてきました。この一貫した取り組みを通して、専門家、 ジャーナリスト、そして一般のユーザに長く愛され、日本のインターネットの発展と共に歩んできました。このInteropの歴史の中で、インターネットとデジタルメディアのInteroperabilityに関する技術的な課題を関係者で力を合わせて解決し、その成果をお見せしてきました。しかし、この分野の技術は日進月歩で発展し、成長します。クラウド、ビッグデータ基盤、あるいは スマートテレビなど、新しいサービスや技術の登場は、新たなInteroperabilityの課題を発生し続けます。また、サイバー空間とフィジカル空間の融合により私たちの生活空間には全く新しいライフスタイルが生まれてきます。Interopは、このような新しい課題に挑戦し続け、参加者と共に新しい社会を創造する場であり続ける事でしょう。
私たちの未来に広がる新しいデジタル社会のビジョンと新たなイノベーションと出会う場を創るために、今年は 「More Clouds, More Ways, More Innovations」をスローガンに開催いたします。
Interop Tokyoの場が「今」の挑戦への成果を披露することに加えて次の10年、20年先も見据えた「新しいインターネット」「新しい市場」を議論する場、体験できる場となり、そして参加者すべての新たな扉を開く場になることを楽しみにしています。
Interop Tokyo 2013 実行委員長
慶應義塾大学 環境情報学部 学部長・教授
村井 純
プログラム委員会議長からのご挨拶
More Clouds, More Ways, More Innovations
2013年は、安部総理大臣率いる自由民主党への政権交代で幕を開けました。 その大きな方向性は、(1)成長戦略、(2) グローバル展開、そして、(3) 持続的イノベーションの実現 にあるように思われます。また、政権交代に伴い、IT戦略本部の再起動が行われ、再び、ITを用いた社会イノベーションと社会・産業の活性化を目指した政策・施策が期待されます。
20回目を迎えるInterop Tokyoは、1994年にスタートし、インターネット関連産業のビジネスの最前線のショールームとしての役割を果たしてきました。 Interop Tokyoがスタートした1990年代は、有線を用いたシステムであり、また、電話会社とメインフレームベンダーがサービスを提供する ベンダー・プロバイダ主導だったシステムを、ユーザ主導型に変革するイノベーションが進行した時期でした。その後、携帯電話の普及やWEBサービスの展開は、インターネットを、ユーザ主導からプロバイダ主導型へと変化させました。 この傾向は、2006年~2007年にかけて登場した、スティーブジョブスが率いるアップル社が市場投入した iPhone と、アマゾン社が市場投入した AWS(Amazon Web Service)を契機に激変を遂げました。 クラウド革命とスマートフォン革命です。 この2つの革命は、2000年代前半のプロバイダ主導型のインターネット市場を、再び 「ユーザ主導」 へと変化させました。 1990年代後半に第1次データセンターブームが起こり、現在、第2次データセンターブームが起こっていることは、ユーザ主導型のインターネットシステムのビジネス構造が進展しているということと、興味深い共通点を持っているように見えます。 「ユーザ主導」のビジネスモデルにおいては、プロバイダ側が考えるある意味「堅い」ビジネスではなく、多様でユニークなビジネスのアイデアが、市場で試され、成功し急成長を遂げる事例が多数出てきます。 2013年の今は、まさに、そのような 時期にあるように思えます。 すなわち、More Ways (たくさんの選択肢と可能性) そして、More Innovations(たくさんの 革新的アイデア) が、市場で試される時代にあるのではないでしょうか。
クラウドコンピューティングの進化と深化、モバイル端末のインターネット化は、サービス提供に必要なハードウェアの制約を劇的に削減することに成功し、既に、スマートフォンとサーバのハードウェアに依存しない 仮想的なハードウェアを自由に変化させることを可能にしつつあります。 このような動きは、ある意味、マイクロソフト社などが独占していたPDA市場に、Google社が開発したAndroid OSが市場を獲得し、さらに、最近の FireFox OS と Tizen OS の登場に象徴されていますし、BYOD(Bring Your Own Device)への注目にも象徴されているでしょう。 これは、ちょうど、UNIX と マイクロソフトWindows が、ハードウェアに依存しない OS として、登場したことによって、それまでの、ベンダー・プロバイダ型の市場が、ユーザ主導の市場へと変化したことと同じ現象なのでしょう。その結果、急激に、一般ユーザの コミュニケーションの形態が、マルチスクリーン化とユニファイドコミュニケーション化しています。
今回のInterop Tokyoにて、基調講演を行う予定の Sir Timothy John Berners-Lee氏は、インターネットの初期に、HTMLを用いたWebによるユーザ主導型のコンテンツ提供・アクセスシステムを発明し、最近は、W3Cで研究開発と標準化が進められているHTML5によって、再び、ユーザ主導型のシステムへの変革を主導しようとしています。
さて、ベンダー・プロバイダ型のビジネス構造が、ユーザ主導型のビジネス構造への変革するにともなって、インターネット産業だけではなく、エネルギー産業にも起こりつつあります。 このトリガーとなったのは、「グリーンIT」であり、これを、加速させたのが、「第2次データセンターブーム」に思えます。データセンターは、大量の電力を必要とするために、特に 海外では、電力会社なみの大規模な発電設備を持ったデータセンターの構築も行われています。これは、データセンターが、エネルギーの消費側から供給側へ変化する可能性を持つこと示しています。 さらに、データセンターで注目され研究開発と実導入が加速している直流給電技術は、一般の事業所や住宅への導入の可能性も十分に持っています。
インターネットが、2回目のユーザ主導型市場を形成しつつあり、そのビジネス領域は、これまでの人と人とを結ぶインターネットから、電力システムや工場など、クリティカルシステムを含む すべての社会基盤に存在する「モノ」を相互接続するものへと変化しつつあります。 その結果、これまで以上に、頑丈なセキュリティー機能を持ったシステムの構築が必須となります。
Interop Tokyoに参加される皆様には、この機会を最大限に活用していただき、最先端のICT技術の動向と現状を把握し、次のインターネット革命を生き抜くに資する、叡智を発見・体験する契機としてご利用いただければ幸いでございます。
Interop Tokyo 2013 プログラム委員会議長
東京大学大学院
情報理工学系研究科 教授
江崎 浩
開催概要
注力テーマ
Interop Tokyo 2013実行委員会編成
実行委員長
村井 純 | 慶應義塾大学 環境情報学部 教授 |
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実行委員
藤沢 秀一 | NHK 放送技術研究所 所長 |
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有馬 彰 | エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株) 代表取締役社長 |
加藤 薫 | (株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ 代表取締役社長 |
中村 修 | 慶應義塾大学 環境情報学部 教授 |
中村 伊知哉 | 慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科 教授 |
チョン キルナム | 慶應義塾大学 政策・メディア研究科 教授 |
夏野 剛 | 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特別招聘教授 |
田中 孝司 | KDDI(株) 代表取締役社長 シスコシステムズ(同) |
Jeffery Brown | ジュニパーネットワークス(株)代表取締役社長 |
宇陀 栄次 | (株)セールスフォース・ドットコム 代表取締役社長 兼 米国セールスフォース・ドットコム EVP(上級副社長) |
鎌田 信夫 | (株)ソリトンシステムズ 代表取締役社長 |
宇野 直樹 | 東京海上日動火災保険(株) 常務取締役 |
江崎 浩 | 東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授 |
藤原 洋 | (株)ナノオプト・メディア 代表取締役社長 |
山口 英 | 奈良先端科学技術大学 情報科学研究科 教授 |
大橋 文雄 | 日商エレクトロニクス(株) 取締役会長 |
手島 俊一郎 | 日本電気(株) 執行役員常務 |
多田 直哉 | 日本ヒューレット・パッカード(株) エンタープライズインフラストラクチャー事業統括 HPネットワーク事業本部 事業本部長 |
黒川 茂 | 日本ユニシス(株) 代表取締役社長 |
岩田 眞二郎 | (株)日立製作所 代表執行役 執行役副社長 |
香川 進吾 | 富士通(株) 執行役員 |
上瀬 千春 | (株)フジテレビジョン 技術開発局 主席研究員 |
加治佐 俊一 | 日本マイクロソフト(株) 業務執行役員 最高技術責任者 |
渕崎 正弘 | (株)三井住友銀行 取締役 専務執行役員 |
小林 大三 | (株)リクルートテクノロジーズ 代表取締役社長 |
後藤 滋樹 | 早稲田大学 理工学術院 情報理工学科 教授 |