NOCチームメンバー 見どころインタビュー

無線LAN&アプリケーション 編

今年のpoint

  • ・会場内で使えるキレイな無線環境を目指す
  • ・会場内の無線APを利用し、三点測位による位置情報トラッキングを実施
  • ・サイバーフィジカルなアプリケーションでネットワークの効用を実体験

昨年までのShowNetにおいても、ホール内にて無線LAN接続を提供していた。しかし会場内のWiFi環境は、来場者がモバイルルータなどの機器を持ち込んだり、出展社が独自に無線AP(アクセスポイント)を立てたりすることで、電波干渉が発生し、大変込み合って使えない状況であった。そこで今年は〝キレイに使える無線〟を目指して改善を試みるという。人と無線APが密集する場所で、無線LANをきちんと提供することは、今後の大きな課題の1つになるだろう。

会場内で無線LANを快適に使ってもらうための環境づくりに期待

Q:まず無線関係に絞って、ShowNetの見どころを教えてください。

  • 関谷氏:
    幕張メッセの展示会場では、もともと何社かが公衆無線LANサービスを提供しています。これに加え、ShowNetでもWiFiサービスを提供しています。しかし毎年、会場内のWiFi環境は非常に混雑しており、電波状況が非常に悪くなっています。 出展社さんが独自に無線APを立てるだけでなく、最近では来場者の皆さんからモバイルルータなどの機器が持ち込まれることもあり、会場内を普通にサーベイしても基地局が1000個以上も乱立している状態です。事実上、いままでのShowNetでは、我々が提供した無線を来場者の皆さんに快適に使ってもらうことは不可能でした。
  • 関谷氏:
    「会場内で無線LANを使おうとしたけれど、実際にうまく使えなかった」という苦情を受けたこともあります。イベント会場のように人が密集する場所で、無線LANをきちんと提供するということは、おそらく今後の大きな課題の1つになるでしょう。そこで今年は、劣悪な電波状態の中で無線環境をどこまでしっかり提供できるかということにチャレンジしようと考えています。本当に成功するかどうかは現地に入ってみないと分かりませんが、いろいろな工夫を凝らし、このハードルをクリアしてみたいです。それが1つ目の見どころです。

Q:ちなみに、いつぐらいからShowNetで無線LANの提供を始めたのですか?

  • 関谷氏:
    ここ数年ぐらい前からですが、公式的に無線LANが使えることはアナウンスしていませんでした。先ほど説明したように持ち込まれた基地局が乱立していますから、もしShowNetのSSIDを見つけて暗号化キーを入力できても、電波状態が悪いため狙った無線基地局へのアソシエーションができないということになります。そこで、この状態を改善すべく秘策を練っています。

Q:具体的にどのような秘策を考えていらっしゃるのでしょうか?

  • 外山氏:
    秘策というと少し大げさになりますが、現在いくつかのアイデアを練っています。まず1つ目は、ShowNetが提供する無線の電波強度を高めることで、ユーザーに電波をつかみやすくすること。また、あるレベル以下の電波強度に位置するクライアントを拒絶したりであるとか、ホール内の無線基地局の数を増やし、より電波を捕捉しやすい位置に配して、密度を高められるように会場内の無線LANを設計します。現場に入ってからの対応も重要になります。
    どのch(チャネル)を使うか、基地局自体のチューニングなどを工夫していきます。
  • 関谷氏:
    昨年の例では、ユーザーから持ち込まれたWiFiルータはデフォルトで1chになっていることがほとんどでした。特定チャネルでの利用が集中してしまうため、我々が提供する無線では比較的空いているchに設定することで、少しでもユーザーが利用しやすくなるように工夫します。同時に会場の無線状況をチェックしながら、きめ細やかにチューニングを変更していき、電波を捕捉できる最適な状況に近づけていきたいですね。
  • 外山氏:
    一般的な無線LANでは、隣接する基地局間では電波干渉を防ぐため使用するchを異なるものにします。しかし逆に会場全体という大きな視点でみて、会場内の空きchを使い無線LANを提供すると一体どうなるのか? ということにトライします。
    いずれにしても無線を使ってもらうためにイベント開催中のどのタイミングで、どのように実施していくのか、運用ルールを決めながら適用していくことが大切だと思います。昨年まで基地局自体の設定に関しては、あまりフォーカスしていませんでした。それらを追求することで活路が見出せるのであれば、チャレンジする価値があるだろうと考えています。

※つづきはShowNet Magazine(PDF形式 1.41MB)をご覧ください。

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セキュリティネットワーク管理、可視化 編

今年のpoint

  • ・トラフィックのモニタリング・可視化、セキュリティ対策&インシデント管理、さらに関連技術の見せ方にフォーカス
  • ・標的型攻撃をシミュレートし、その対策を評価ツールで披露する
  • ・すべてのレイヤを統合的に可視化する「SIEM」(Security Information and Event Management)システムを展示

幕張の会場内に設置されるネットワークには、多くの出展各社の製品やサービス、相互接続性を示す多くの機器が接続される。当然、外部インターネットとの接続も確保され、会場内だけでも「インターネットの縮小版」といえるほどの規模になる。さまざまなトラフィックが行き交うなかで、セキュリティ対策も重要だ。ShowNetでは、ネットワークセキュリティの確保や運用のために、どのような機器やサービスが実稼動しているのだろうか? セキュリティ関連の展示について、NOCのセキュリティ担当者に話を聞いた。

トラフィックモニタリングではOpenFlowも活用して攻撃を検知

Q:今年のShowNetで、セキュリティ関連の見どころはどんな点でしょうか?

  • 橋本氏:
    セキュリティ関連の展示以外の要素も含みますが、今回の展示には4つのポイントがあります。まず第1にトラフィックモニタリング。第2にトラフィックの可視化。第3に実際のセキュリティ対策やインシデント管理です。近年は攻撃手法が変わってきているので、最新の攻撃をどのように監視するか、検知するかといった点にも注力しています。第4に、3つのポイントそれぞれについて関連技術をどう見せるか、ということですね。トラフィックモニタリングでは、下位レイヤから上位レイヤまでを監視します。物理レイヤでは昨年から更に小型化されたTAPでトラフィックを抽出し、レイヤ1のアグリゲーションスイッチでトラフィックのコピーや重複排除を実行し最適化します。最適化されたトラフィックは、NetFlowProbeにも送信され、NetFlow形式に変換することで、NetFlowやsFlow、IPFIXなどのトラフィックモニタリングに対応していないネットワーク製品のトラフィックも可視化することが容易に行えます。最適化されたトラフィックの更なる利用方法としては、セキュリティ・モニタリングです。ファイアウォールや昨今、世界中で問題となっている標的型攻撃への対策製品にて分析・解析を行います。その他にもWAF、ダークネットの観測を行い、これら全てのセキュリティ・ログを管理者に通知するとともに、後述するSIEMにて一括管理を行います。
  • 橋本氏:
    SIEMでの一括管理では、管理だけでなくSDNの活用を考えています。SIEMにて更なる解析が必要とされるトラフィックは、その情報をOpenFlowコントローラーに通知し、動的に解析装置へトラフィックのコピーを行う取り組みも行います。最後は、これらセキュリティ製品は、これまでデモや解説だけではわかりづらい点がありましたが、今年はこれらを来場者の皆様に、見て、触って、操作していただくことで、どのような管理が行えるのか、NOCブースにて体験することが出来るようになっていますので、ご来場の際は是非お立ち寄りください。

Q:ShowNetのセキュリティというとnicterの画面の印象がありますが、可視化で今年もnicterが活躍するのでしょうか?

  • 遠峰氏:
    はい。モニタリングや攻撃トラフィックの可視化という点で、nicter画面は有効だと思います。アラートや警告という点ではDAEDALUSも分かりやすいでしょう。こちらはダークネットの監視ですが、リアルネットではNIRVANAによる会場の負荷状況の把握や障害予防・対策も実施します。
  • 長谷川氏:
    可視化での今年の取り組みは、NICTの各種モニタリングシステムだけでなく、すべてのレイヤでのパケットやトラフィックの状態を統合的に見せるようにする工夫もあります。先ほどのレイヤ1アグリゲーションではタップからのデータを可視化し、レイヤ2のイーサネットでは死活監視や性能監視を行い、さらにその上のxFlow(例:NetFlow, sFlow IPFIXなど)ではトラフィックの流量および成分の監視を行う、といった具合に、レイヤごとのトラフィック状況を可視化させることで、ShowNet全体の可視化を行おうというものです。これらすべてのレイヤを統合的に可視化するシステムをNICTが現在開発しているところです。また、幕張にご来場いただく皆様にShowNetができるまでをよりリアルに体感頂けるよう、ShowNet構築開始から運用開始までのネットワークの変遷具合を、レイヤごとにパネル化して展示することも考えております。より臨場感あるShowNetを体感いただきたいと思います。
  • 遠峰氏:
    NICTの開発するシステムは「SIEM」(Security Information and EventManagement)と呼ばれるような機能を目指しています。現在(インタビュー時)開発中なので、詳細やグラフィックスがどのようなものになるか、まだ詳しくお伝えできません。ただ、そのシステムはリアルネットを監視できるNIRVANAがベースとなります。複数のレイヤのトラフィックを様々な形で可視化した上で、その上にセキュリティインシデントを視覚的に見せることができればと思っています。各レイヤのアプライアンスから収集したデータを処理して攻撃トラフィックをマーキングし、さらにその情報をフローベースでネットワークに戻して、SDNでそのトラフィックを複製し、各セキュリティ機器でより詳しく調査するということも考えています。

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IPv6マイグレーション 編

今年のpoint

  • ・IPv6ネットワークをベースにした移行技術を使い、出展社ブースを初めて収容
  • ・MAP-Eのトンネリング技術も新たに導入
  • ・仮想マシンとしてCPEを提供する際の自動設定やデプロイメントなどを工夫

これまでIPv4の延命としてのCGNと、IPv6への移行技術が同時に進められてきた。ShowNetでもIPv6そのものに対する対応は昔から実施されているが、従来のトライアルではなく、いよいよ会場の出展社ブースに移行技術を直接収容する形での実運用にチャレンジすることになった。IPv6マイグレーションに関わる3人のNOCメンバーに話をうかがった。

IPv6移行技術を使って会場の出展社ブースを収容

Q:いよいよIPv6移行技術も実用フェーズへと移りました。ShowNetでの今年のトピックスは何でしょうか?

  • 渡邊氏:
    ShowNetでは以前からIPv6への移行技術(IPv4/IPv6共存技術)について紹介してきました。しかし昨年までは、あくまでトライアル的な位置づけで、会場の一部にShowNetアクセスコーナーを設け、そこで複数のIPv6移行技術を体験していただくという試みが中心でした。今年はIPv6移行技術が徐々に世の中で使われ始めるフェーズに入ったため、ShowNetにおいてもIPv6移行技術を使った会場の出展社ブース収容に挑戦することになりました。これがIPv6マイグレーションに関する大きなトピックスです。
  • 真野氏:
    これまでIETFでIPv6移行技術の標準化が行なわれてきましたが、なかなか進んでこなかったという経緯がありました。しかし昨年から今年にかけてだいぶ進展があり、標準化された技術が出揃ってきました。技術的にプロトコルが見えてきた中で、実際にどのように使えるかということをShowNetで示してみたいと思います。
    また、今回特に注目していただきたいのは、移行技術です。これは、ユーザーに対しIPv6ネットワーク環境だけを提供し、その上でIPv4をトンネルやNAT技術を使って通してあげるという技術です。
  • 大久保氏:
    具体的にはトランスレート技術の「464XLAT」と、トンネリング技術(IPv4over IPv6)の「DS-Lite」「MAP-E」や「SA46T」という4つの技術を提供します(注1。どの技術が良い悪いという話ではなく、導入するキャリアやCATV事業者、データセンタ事業者などの業種によって最適な技術があります。やはりネイティブIPv4と比べて、PPTPや一部P2P系のアプリケーションが使えない場合もありますので、実際に利用される環境でどうなのか、 どの技術がフィットするのか、来場者の方々にご覧いただいて、しっかり確認していただければと思っています。

新たなトンネリング技術として「MAP-E」も検証!

Q:テクノロジーに関して新しい見どころなどはありますか?

  • 真野氏:
    ShowNetとしては初めて、IPv6移行で「MAP-E」という技術を使います。このMAP-Eでは、複数社から機器をご提供いただき並列して動作させます。また、464移行技術では、センター側装置だけなくCPE(Customer Peremises Equipment)と呼ばれるユーザー宅内の端末(ゲートウェイ)が必要になります。このCPEも何社かにご提供いただき、相互接続性の検証を行ないます(注2。CPEはボックス型の小箱の場合もありますし、仮想マシンとして提供される場合もあります。各社いろいろな製品でさまざまな技術を採用していますので、来場者の方がそれらを見て自社サービスとして利用する際に参考になる情報を提供していきたいと考えています。
  • 大久保氏:
    まだMAP-Eはドラフト段階で仕様がいくつか提案されており、最近また変更されたところです。各社がサポートしている準拠ドラフトがまちまちのため、相互接続性の課題もクリアしなければいけません。今回のShowNetでも実際に接続してみて確認していく予定です。

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ファシリティ 編

今年のpoint

  • ・床下から天井へのフローを作る逆向きのエアカーテン
  • ・NOCラック内のケーブルの配置や束線、電源などの実装方法
  • ・普段は見えない・目立たない機材を搭載したラックを展示

Interop Tokyoの会場ネットワークの中枢ともいえるNOCは、イベント専用のISPとして会場内のインターネット(ShowNet)と外のインターネット(The Internet)をつなぐ重要な設備だ。出展者のネットワーク関連機器を収容し、運用管理しなければならない上、ShowNetとして「見せる」ための展示や装飾も必要である。そんなInteropの裏方(NOC)の裏方ともいえるファシリティ担当者に、ShowNetでの見どころや設営のノウハウなどを聞いた。

エアフローを考慮した設計で、熱対策や消費電力の問題をクリア

Q:Interopでのファシリティは、NOCとしての機能の他、ShowNetとして見せる展示も考える必要がありますが、今年はどんな点に工夫したのでしょうか?

  • 伊藤氏:
    おっしゃるようにShowNetは見せる要素も考えながら、通常のサーバルームやデータセンタと同様に熱対策や電源の問題なども考えなければなりません。またISPとしての機能をすべてサポートしながら、設営と撤収は短期間で行う必要があります。加えて、出展社に対しては商用レベルのSLAを担保するくらいの品質も求められます。しかし、厳しい条件の中、毎年いろいろな方法を試行錯誤した結果、ノウハウが積み重なっています。 展示の特徴ですが、今年もNOCの床を30cmほど持ち上げて床下から上に送風する方式は踏襲します。年々、収容機器数が増えたり機器の実装密度が上がったりして、負担は増えているのですが、熱対策という面でこの方式はとても効果があります。ただし、見学者にとっては、展示ラックが通常より高い位置に見えてしまうので、ラックの上のほうが見にくくなります。 逆に普段は目立たないラック下部が意外と見えやすくなるので、ラック内の機器の配置に配慮が必要ですね。 エネルギー管理も近年の重要なキーワードです。コントリビュータが提供してくれた管理ツールやセンサなどによって、運用中の電力消費や熱管理も欠かせません。ラックごとの温度管理のため、今年も扇風機やスポットクーラーを使います。同様に、ラック全面下部にエアカーテンの設置もやります。通常のエアカーテンは天井から床に空気の壁を作って埃の侵入を防いだりしますが、InteropのNOCでは、床下から天井へのエアフローを作るために逆向きに利用するのです。
  • 大松氏:
    エアフローの制御は一般的なデータセンタでも重要ですが、NOCではエアフローの統一が1つの難題となります。まず、機器を見せるために配置しなければなりませんし、コントリビュータの製品によって、ラックの構造や、我々が前提としているエアフローの向きと統一しづらいことがあります。ラック内の機器も筐体が前面排気なのか背面排気なのか異なることもあります。製品によっては側面というケースもあります。そのため、ラック内に仕切り板を入れてフローを変えたりする作業が必要なこともあります。
  • 伊藤氏:
    あとNOC内のケーブル類がエアフローを変えてしまうこともあります。特に電源ケーブルは束ねてあったりすると、それ自体が熱源となります。近年は、機器やモジュールの小型化が進み集積度が上がっています。同じ筐体でも熱のこもりやすさは全然違います。エネルギー管理ツールでは、筐体やラックの消費電力や温度などもリモートで監視、可視化できるものもありますが、エアフローや熱だまりは見えないので、現場ではサーモグラフィを見ながらの温度管理もしています。
  • 大松氏:
    スイッチのポート数も1Uで48ポートといったものも普通になり、ケーブルの密集度も10年前と比較すると10倍以上になってきています。ケーブルのさばき方によってエアフローを乱してしまったり、製品のロゴや説明パネルが見えなくなったりしてしまうので、この処理も難しいところですね。

Q:通常のデータセンタより過酷な条件でファシリティ管理を行わなければならないようですが、NOCでは管理や運用で違いはありますか?

  • 大松氏:
    やはりケーブル処理は、NOCならではのノウハウがあるかと思います。ロゴを隠さないようにするとか、装置ごとに異なるエアフローをどのように処理するか、配置をどうするか、あらゆるパターンに対応しなければなりません。ただ、NOCの設営やファシリティ管理にはさまざまな企業の専門家が参加するので、お互いのノウハウを共有したり、情報交換をしたりすることが可能です。あ、こんな対策があったのか、といった知見が得られるメリットもあります。
  • 伊藤氏:
    設営には機器のコントリビュータも手伝ってくれるのですが、そのベンダーとしてみれば、自社製品の設置のしやすさや問題点、現場作業者の生の声などが聞けるので、製品の改善や改良の参考になっているかもしれません。あと実際のデータセンタとの違いという点では、構成変更への考え方もありそうです。一般的に、安定運用を考えるとケーブルの配置や束線などもしっかりやる必要があります。しかし、イベントが終わればバラし、運用中に構成変更が発生し得る前提で設計・構築するNOCでは、このケーブルだけ抜きたい、といったときに対応できるようにしておかないとダメなのです。

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SDN(Software Defi ned Networking) 編

今年のpoint

  • ・バックボーンネットワークのモニタリング網にOpenFlow対応スイッチを導入。セキュリティアプライアンスへバックボーントラフィックを転送。さらに、レイヤー1からレイヤー4までのヘッダ情報を任意に組み合わせ、必要なトラフィックのみをセキュリティアプライアンスに取り出す。また、セキュリティ機器と連動し、インシデント発生時には自動的に対象トラフィックを解析用のサーバへ転送する
  • ・PODエッジ部分の一部をSDN化し、ユーザー収容とプロビジョニング自動化を実現
  • ・OpenFlow対応スイッチを導入し、動的かつインテリジェントな制御を行なう事例。Webキャッシュのトラフィックの折り曲げて、キャッシュサーバにデータを送る

昨年のInterop Tokyoでは、従来になくOpenFlow・SDN(Software Defi ned Networking)関連の技術が数多く展示され、来場者から大きな注目を浴びていた。今年のShowNetでも昨年同様、SDN関連の展示に力が入っており、専用のSDN ShowCaceも設置される予定だ。SDNに関わるNOC責任者に今年のSDN関連の展示や注目ポイントについて語ってもらった。

将来的にはネットワークとITのより上位レベルでの融合を目指したい

Q:今年もSDNはイベントの注目技術になりそうですが、そもそも仮想化ネットワークやSDNが注目される理由、背景にはどのようなものがあるのでしょうか?

  • 齋藤氏:
    近年のクラウド・コンピューティ ングの拡大には、サーバの仮想化技術も深くかかわっています。同様にネットワーキングにおいても、2007~2008年ごろから研究ベースで始まったOpenFlowプロトコルですが、ここ近年OpenFlowプロトコルを実装した製品が出始めたことで、仮想化ネットワークやSDNといったコンセプトが注目されてきたというシーズの視点があるかと思います。  同時に、データセンターにおいてもリソースの有効活用や電力消費への問題の対応として、仮想化ネットワークや集中管理型ネットワークアーキテクチャへの期待感、つまりニーズ(Needs)につながっています。ニーズに適合する技術が育ってきたということで、SDNへの注目はある意味では必然的といえるかもしれません。
  • 田原氏:
    SDNが注目されているのは、プロトコル技術などシーズがあるからだけではなく、齋藤氏のいうような仮想化や集中管理のニーズが高まっているからだと思います。そして、このニーズの背景に、システム構成や拡張を考えるとき、高性能なものにスケールアップするのではなく、台数をスケールアウトする方向に変わってきていることもあります。しかし、ネットワークを組むITインフラが高性能・安価になってきているとはいえ、スケールアウトによるシステム拡大は管理や運用コストの問題を伴うため、どうにかして解決したい「モヤモヤ感」を払拭してくれそうなOpenFlowやSDNに期待が集まっているのではないでしょうか。

Q:この1年でSDN関連の市場はどのように進化していますか。また、そのニーズや期待感にどれくらい応えられているのでしょうか?

  • 田原氏:
    OpenFlow対応スイッチなど新製品がリリースされるスピードは、この1年で大きな変化はありませんが、新製品は着実に増えていますし、導入事例も増えています。これまで様子見だった機器ベンダーもONF(Open Networking Foundation)に続々加盟するという現象にも見られます。 現状は、新しい技術や製品も供給されながら、市場が広がっている段階といえるでしょう。
  • 齋藤氏:
    SDNの導入事例は、ISPやデータセンタで増えており、主に管理ネットワークのソリューションとして1つの切り口になりつつあります。データセンタなどにおいては、ラック、フロア、拠点といった物理的な制約に縛られずに規模の拡大、縮小の対応が可能であり、OPEX(OperatingExpense:事業運営費)の削減に効果を発揮しています。

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コアネットワーク&データセンタ 編

今年のpoint

  • ・エクスターナル部は、100Gbpsのサービスによってインターネットへのコネクティビティを提供。インターナル部のバックボーンも100Gbpsが標準に・BGPで標準化が進められているADD-PATHと呼ばれる新しいCapabilityを用いて、相互接続の確認を行なう
  • ・出展社のネットワーク収容部で、SDNおよびIPv6移行技術を適用して実運用する
  • ・データセンタ部は、イーサネットファブリック技術によるL2網から視点を変えてL3網で構築
  • ・トラフィックを抑えるキャッシュ機器を多数展示。SDNを活用し、各機器でキャッシュの曲げ方を変える

従来までトライアル的に実施されてきた各種技術が実運用レベルまで落ちてきたため、今年のShowNetのコアネットワークまわりは、よりユーザーに近い形での見どころが多くなった。一方で、ShowNetとしての本来の役割である近未来のテクノロジーも積極的に取り入れている。

エクスターナルもインターナルも100Gbpsが一般的な時代に突入

Q:今年のShowNetに関して、それぞれのネットワークでのポイントについて、トポロジー別に順に教えてください。

  • 北出氏:
    インターネットに最も近いエクスターナル部からご説明します。昨年と大きく違う点は、100Gbpsの商用サービス化が始まり、今回そのサービスを利用して、インターネットへのコネクティビティを提供していることです。また、国内大手のJPNAPやJPIXなどのメジャーなIXも、正式に100Gbps対応のIXサービスに参入しました。お金さえ払えば使える時代になったことをアピールしたいですね。実際に利用するユーザーも現れ、1年後ぐらいには普及していくサービスだと思います。
  • 渡邊氏:
    その下のトポロジーはBGPプロトコルなどで収容していく部分になります。昨年まではIPv6移行と合わせて4ByteAS化を実施し、4ByteASのみでのトライアルはほぼ終了しました(注1。その一方で、一昨年あたりからBGPで「Advertisement of Multiple Paths」(以降、ADD-PATH)と呼ばれる新しいCapabilityの標準化が進められています。今年はこれらを相互接続のトピックスとして確認していきます。メーカーごとにルータへの実装方法に違いがあるため、相互接続でテストしてみないと、どういう動きをするのか確認できません。やはりShowNetという場でテストすることに大きな意味があると考えています。

Q:ちなみにADD-PATHとはどのようなものなのでしょうか?

  • 渡邊氏:
    BGPのメッセージに「PATH-ID」という数値が経路に対して付きます。従来までBGPはベストパスしか持てませんでしたが、これによりマルチパス化できるようになります。マルチパス化は以前から各メーカーで独自機能によって実現されていたものですが、ADD-PATHがBGPの規格として進んでいるので試してみようというわけです。エクスターナル部分での相互接続では目玉となります。

Q:その下のトポロジーにあたるインターナル部に話題を移したいと思います。この部分では、どこに注目すべきですか?

  • 北出氏:
    昨年まではバックボーンも100GbEはトライアル的に採用していました。これが今年から一般化し、100Gbpsで延進されています。従来まで10Gを8本、あるいは16本に束ねたリンクアグリケーション技術で回線を増強してきましたが、やはり回線を束ねると不安定になり、大容量トラフィックへの対応が難しいというデメリットもありました。100Gbpsがコモディティ化すると帯域が10倍に増え、大容量通信をする場合にもリンク使用量が偏らない など、さまざまなメリットを享受できます。 さらに今後は100Gを束ねて400Gや800Gまで増強する方向に向かっています。

出展社収容部で実運用されるSDNやIPv6移行技術にも着目

Q:ShowNetで実際にISPの局社収容の形態を司る、出展社のネットワーク収容部についてはいかがでしょうか?

  • 中村氏:
    今年はいろいろなチャレンジをしようと考えています。「SDN」という言葉はいまだバズワードとして扱われています。そのような中で、ShowNetとして実現できるSDNの形態で、かつL2/L3バックボーンとどのようにつないで活用していくのか、それを出展社収容の中で具現化します。具体的には、仮想化ネットワークやOpenFlowなどの主要技術を集めてShowNetで相互接続し、どのようにオペレーションしていくのか、そのユースケースを示します。既存L2/L3ネットワークのバックボーン接続もあるので、従来のオペレータ視点でSDNのオペレーション方法も含めて見せていけたらいいかなと思っています。

※つづきはShowNet Magazine(PDF形式 1.41MB)をご覧ください。

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