ご挨拶
Interop Tokyo 2010 実行委員長挨拶
Interopの新たな使命
インターネットが一般に利用され始め20年が経ち、インターネットは日常生活やビジネス社会に深く浸透する重要なインフラになりました。インターネットの発展に伴い、メディア、携帯電話、クラウドコンピューティングなど、私達を取り巻く実に多くの事象が変化し、近い将来その姿はさらに変化しようとしています。また、エネルギー対策や人の教育や健康など、人類の課題へのIT技術への期待はますます膨らむばかりです。
こうした移り変わりを背景として、「Interop Tokyo」は、常に最先端の情報通信関連の専門イベントとして1994年から開催されています。Interopは “ Interoperability”、相互運用性という用語から名づけられ、その名の通り、オープンな仕様で動くさまざまな機器が健全な競争を行う情報通信機器のマーケットにおいて、生命線となる相互運用性を、たくさんの利用者の視点でチェックできるように楽しい展示会として進めたことではじまっています。こうして開始されたInteropは、常に最先端の技術が展示され、しかも厳しい競争の展示が行われ、かつ、それらが利用者のために連携してハーモニーを作れるのか、といういつも新鮮なイベントとして、専門家から一般ユーザまで広く愛されてきました。
国内のインターネット人口が9千万人を超え、ネットワーク技術が社会のいたるところに浸透している現在、先端の技術の相互運用性の「戦場」に立ち会える興奮と楽しさを提供しているばかりでなく、今後のビジネスと文化の発展を理解するための重要な場となっています。 現在日本を舞台にしたテクノロジーの世界では、メディア、環境エネルギー、携帯電話分野など産業の分野に隔てをおかず、グローバルな視点を常に保ち、少子高齢化やガラパゴス化などに象徴される日本国内の課題に取り組み、グローバルな責任に結びつけつつ解決していくことが真に求められています。2010年のInteropTokyoが、新しい挑戦の場となり、参加者すべての未来の扉を開くことを心待ちにしています。 2010年6月、幕張でお目にかかりましょう。
Interop Tokyo 2010 実行委員長
慶應義塾大学 環境情報学部教授
村井 純
Interop Tokyo 2010 プログラム委員会 議長挨拶
スマート・インフラへの起動 ― 新しいビジネス方程式のフロンティア ―
Emerging New Market Standards for the Smart-Infrastructure in the 21st Century
1994年にスタートしたInterop Tokyo(当時はNetWorld+Interop)は、ISP(Internet Service Provider)がダイヤルアップ技術を用いて産声を上げた時から、これまでの17年間にわたり、The Internetとインターネット関連産業を牽引し国内外のマーケット・スタンダードを確立してきました。 コンピュータネットワーク産業は、10年周期で、『こちら側』型ビジネスモデルと『あちら側』型ビジネスモデルとが入れ替わり、2010年は『クラウドコンピューティング』が2000年代中盤以降の 仮想化技術、WEB2.0技術、さらにP2P技術を昇華する形で、ビジネス化への展開を加速化させています。20年前のメインフレームシステム、10年前の WEBサービス、そして、XaaSに代表されるクラウドサービスへと、推進力となるビジネスエンジンは変化してきています。
一方で、21世紀は、『環境とエネルギー』が人類の緊急かつ最重要課題として認識され、社会インフラの大改革に向けた研究開発投資ならびに設備投資が計画されています。いわゆる、SmartGridに代表されるスマート・インフラへの挑戦です。 スマート・インフラの実現には、インフラを構成するコンポーネントすべてがスマート化・ネットワーク化することが必須であることは、米国におけるスマートグリッドの推進機関であるNIST(米国国立標準技術研究所)が精力的にインターネット技術の導入に向けた活動を推進していることにも表れています。インターネットとICT技術は、社会・産業活動の ユーティリティー(Utility)としての基盤技術・基盤システムとなり、すべての産業・社会活動のインフラとして広く浸透し、ICT技術・ICTシステムを用いた産業および社会の再構築課程が、2010年から本格始動したと考えなければならないでしょう。
インターネットは、IoC(Internet of Computer)から、IoT(Internet of Things)へとその姿を変えようとしています。スマートな物(Smart Object)が相互接続され、相互作用・協調動作することで、効率的で高機能な、かつ持続可能なスマートなインフラの基礎を今後の10年で確立していくことになるでしょう。まさに、新ラウンドの起動であり、新しいビジネス方程式(Market Standard)への旅の始まりです。 新生となったInterop Tokyoに参加される皆様には、この機会を最大限に活用していただき、最先端のICT技術の動向と現状を把握し、次の10年を生き抜くに資するICT技術に遭遇する契機とyしてご利用いただければ幸いでございます。
Interop Tokyo 2010 プログラム委員会 議長
東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授
江崎 浩