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2007の模様

Tokyo 2007閉幕 踊り場を抜け、インターネットは新たな段階へ

心配された雨も夜のうちに止み、暑さが戻ってきた6月15日にInterop Tokyo 2007は最終日を迎えた。 「The Internet」をテーマにした本年のInteropは、まさにインターネットを活用したビジネスに新時代が訪れたことを感じさせてくれるイベントとなった。3日目のレポートは3本の基調講演の内容を中心にお伝えする。

基調講演レポート5「これからの企業におけるコミュニケーションのあり方」

最終日1本目の基調講演を行ったのは、アバイア・インク 社長兼CEOのルイス・J・ダンブロシオ氏だ。コミュニケーションがIP化されることで生じるビジネスの変革を、事例とともに紹介した。  ダンブロシオ氏は「IPコミュニケーションの導入について、2002年にはコスト削減が、2004年には収益性の改善がそれぞれ重要な項目と考えられていました。そして今、その目的としてあげられるのはビジネスの改革です」と切り出した。  まずフロリダ州で行われた取り組みがビデオで紹介された。


アバイア・インク 社長兼CEO
ルイス・J・ダンブロシオ氏

ある学区では、生徒の安全を確保し、保護者と密接に連絡を取るために同社のIPコミュニケーション技術を導入しているとのこと。その中での一例として「お迎え通知システム」をあげた。これは、スクールバスの遅延を親に伝えるシステムで、遅延情報を留守番電話やFAX、携帯電話、e-Mailなど、その時に最適な方法を選択し、通知するというものだ。「このようなインテリジェントコミュニケーションをIPテレフォニーで実現するためには、ソフトウェアが重要です。実際にアバイアでは開発費の75%をソフトウェアに割り当てています」とダンブロシオ氏は語る。さらに、ユニファイドコミュニケーションを実現するためには、強力なパートナーシップが必要であると強調した。

さらにIPによるコミュニケーションのメリットを最大限に活かすため、アバイアでは音声とコミュニケーションをSOA化して提供している。「SOA化によって、業務プロセスに直接コミュニケーションを組み込めるようになりました。例えば在庫管理システムが在庫不足を検知すると同時に、必要な社員に対して自動的に招集をかけるといったことが可能になります。実際にこのソリューションを導入している企業ではサイクルタイムを2時間から2分に短縮できました」とSOA化のメリットをアピールした。最後にダンブロシオ氏は「これからは、ビジネスをコミュニケーションによって変革していく時代になります。ぜひ戦略的な資産としてコミュニケーションを活用ください」と締めくくった。

基調講演レポート6「これからの情報化社会に向けた住宅のあり方」

続いての基調講演では、IPベースのホームネットワークシステムに対する松下電工の取り組みについて、チーム・マイナス6%との関係も交えながら同社の代表取締役 取締役副社長 野村 淳二氏が語った。まず野村氏は「これまでのインターネットは情報家電の世界でした。しかしこれからは住宅設備の1つとして、繋がることよりも繋がった上で何をするかこそが重要になります。松下電工の取り組みの1つが、EMITによる住宅設備機器のネットワーク化です」と語った。


松下電工 代表取締役 取締役副社長
野村 淳二氏

電気機器を考えた際に、ユーザは何も考えずに電源コードをコンセントに差し込んだだけで使う準備を整えることができる。移動や買い増し、組み合わせも自由だ。  EMITはこれと同じ状況を情報家電でも実現し、さらにセンサーなどと組み合わせたトータルなソリューションとして利用可能にする技術だという。同社では4年前から実験住宅をつくり、IPv6ベースのホームネットワークの実証実験を行っているとのことだ。  さらに「このような技術の多くは、まず企業のビルで使われ、それから住宅へと降りてきます。このように考えると、次にやらなくてはいけないことは、家庭内の情報セキュリティです。さらに省エネについても目を向ける必要がありますが、ホームネットワークシステム化によって、機器単位でセキュリティ・エネルギーの両面から集中制御を行うことのできる『Lifinityエコ対応システム』を現在開発しています」と同社の今後の目標についても紹介した。

基調講演レポート7「サービス主導のIP変革:ユーザ中心の新しいデジタルサービスに対応した新IPネットワーク」

Interop Tokyo 2007を締めくくる、クロージング・キーノートを受け持つのは、昨年合併を果たしたアルカテル・ルーセントの最高技術責任者 オリヴィエ・ボジャール氏だ。  まずボジャール氏は「現在ITCビジネスを巡り多くの企業が競争している状況にあり、テレコム分野に携わってきた企業には変革が迫られています。これまではサービスとネットワークの両方を握ってきたわけですが、インターネットの発展により独自ネットワーク持たないサービスプロバイダが登場しました。


アルカテル・ルーセント 最高技術責任者
オリヴィエ・ボジャール氏

ITに関わるサービスは、最終的にネットワークを通して提供されるため、この2つを持っている企業が本来強い力を持つのです」と現在のネットワークに関する状況を分析した。さらに「ネットワークを使ったサービスの形態として、Web/電話/放送の3つがあります。放送やWebといった新しいサービスはコンテンツ主導型で、コンテンツこそがすべての要となります。そこでトリプルプレイをはじめ、IT技術の向上によりユーザが自分でバンドルできる状況が整っています。つまり、提供する側はもっと新しいサービスへ展開しなくてはいけないということです」と続け、サービス内容の差別化や自由度を高めるといった取り組みが重要だと強調した。「Web/電話/放送のすべての要素のベストブリードとはなんでしょうか。私たちは、常にユーザが何を必要としており、何が普遍的に求められているかを考えています」と語り、「大きなチャンスがこの産業にはあります。次世代の導入に向け、100以上の技術を活用し、実験に終わらせずに実現させていきます」と締めくくった。

Koreaパビリオンベンチャーから上場企業まで、韓国のパワーをみせる

アジアのブロードバンド先進国である韓国の企業がプロダクトの展示を行ったのが「Koreaパビリオンだ」。IPv4アドレスの枯渇が近い将来の現実としてようやく認識されるようになった。これはアジア圏のインターネット利用者の急増がその原因の1つであり、今後のインターネット環境はアジアの力が大きく影響することは間違いないだろう。そういう意味では、日本と同じくブロードバンド先進国である韓国の役割は大きいのではないだろうか。


様々な分野の企業が展示を行ったKoreaパビリオン。

ShowNet Cafe「IPv6、でも何が違うの?」

シンクライアントや面白デモンストレーションなど、休憩所でありながら楽しい展示が行われているShowNet Café。今年の題材は「フルIPv6」だ。お茶を飲みながら自由に利用できるすべてのマシンが「IPv6のみ」のネットワーク環境で動作している。さらに自分のPCを持ち込んだ人向けに、ネットワーク設定の張り紙がしてあり、来場者にもIPv6を強要してしまう徹底ぶりだ。  「IPv4とIPv6はどれほど違うのか」と思われるだろうが、ちょっと使ってみたところでは「何が違うのだろう?」と首を傾げるほど。逆にいえば、これまでIPv6に対して幾度もチャレンジやトライアルを繰り返してきたShowNetとNOCチームだからこそ、まったく違和感を感じさせない状態でフルIPv6環境を提供できたともいえる。


いつも展示マシンは満席なShowNet Cafe。1つでも席が空くと、すぐに次の人が入れ替わる人気っぷり。

来年はThe Internet? NGN? それとも?

ついに会期が終了したInterop Tokyo 2007。NGNとThe Internetに代表されるように、コンファレンスから基調講演、展示会場まで様々な「対決」が見られた年となった。会期終了後もそれぞれの立場から技術やソリューションを磨きあげ、実際のネットワーク環境でその結果を見る日がくるだろう。ITビジネス分野は今、活気にあふれる状況だ。このような大きな力が働く時代には、1年で全く違う変革が起こる可能性がある。来年のInterop Tokyo 2008では、今年の発展形が見られるのか、それとも全く違うものが現れるのか。ぜひあなたの目で確かめてほしい。

活気にあふれたInterop Tokyo 2007の展示会場。来年はどのような技術に注目があつまるのだろうか。

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